代謝とは、分子を作る反応(同化)と分子を壊す反応(異化)を含む、細胞内の全ての化学活動のことです。同化反応はエネルギーを必要とし、異化反応はエネルギーを供給します。このように、代謝とは、細胞が多様な化学反応によってエネルギーを変換する様子を説明するものであり、これらは酵素の助けを借りて度々、効率的に行われます。
代謝とは、細胞のエネルギーを管理することであり、3つの重要な機能を持ちます。
エネルギーを生成するには、食物由来の高分子を異化作用によって小さな分子に分解する必要があります。これにより、今度は同化経路を介して小さな構成要素から大きな分子を構成するエネルギーを生みます。つまり、食物の位置エネルギー、すなわち原子間の結合に蓄えられた化学エネルギーが、細胞内反応に利用できる運動エネルギーへと変換されるのです。酵素は、代謝経路に必須の分子的道具です。というのも、酵素は必要なエネルギーの量を減らすことで、多くの化学反応を大幅に促進するからです。
異化作用とは、何らかの目的のために高分子を分解することです。これには、食物分子を要素形成に使える小さな分子に分解し、ATPに変換されたエネルギーを放出するプロセスが含まれます。タンパク質の消化は異化作用の一例です。我々が食べたタンパク質を体内で利用するためには、大きなタンパク質分子を小さなポリペプチドや、さらには個々のアミノ酸に分解しなければなりません。
分解されて余ったアミノ酸は、窒素を含んだアンモニアを放出します。このアンモニアは高濃度になると毒性があるため、生物が処理でき捨てられる、より安全な形へと変換しなければいけません。人間の場合、アンモニアは二酸化炭素と結合して尿素に変換され、尿として体外に排出されます。他の生物では、鳥類や爬虫類の尿酸のように、異なる種類の窒素廃棄物を使用します。尿酸は尿素に比べ、体外に排出するのに必要な水分量が非常に少ないため、特定の条件下で適応性があるのです。
同化経路は、エネルギー(ATP)を使い、小さな構成要素分子から大きな分子を構築します。例えば、タンパク質の同化では、アミノ酸をつなぎ合わせポリペプチドを作ります。この合成されたポリペプチドが3次元のタンパク質構造へと折り畳まれます。余ったアミノ酸は、トリグリセリドを作るのに使用されたり、脂肪として蓄えられたり、グルコースに変えられATPを作るのに使われます。このように、エネルギー平衡を保つために、同化作用と異化作用の両方が必要となります。
また、あまり知られていませんが、種子の濃縮タンニンの生成も同化作用の一つです。動物が食べる種子は、その種皮に暗色の凝縮されたタンニンが含まれていると、消化から守られます。植物は、ポリペプチドを作るのと同じ脱水反応を利用して、アントシアニン分子を結合させ、タンニンを産生します。