約40億年前、地球上には海が形成され、火山の噴火によって窒素、二酸化炭素、メタン、アンモニア、水素などが原始大気中に放出されました。しかし、生命の特徴を持つ生物は最初から地球上に存在していたわけではありません。科学者たちは、成長し、繁殖し、内部環境を維持できる生物がどのようにして進化したのかを、実験によって明らかにしました。
1920年代、科学者のオパリン(Oparin)とハルデン(Haldane)は、初期の地球では単純な生物学的化合物が形成されていたのではないかという考えを提唱しました。それから30年以上経って、シカゴ大学のスタンレー・ミラー(Stanley Miller)とハロルド・ユーレイ(Harold Urey)は、初期の地球の大気と海の状態を実験装置でシミュレートして、この仮説を検証しました。この実験では、電気をエネルギー源としてアミノ酸などの有機分子を生成し、地球初期の環境が生物分子の生成に適していたことを示しました。最近の実験でも同様の結果が得られており、アミノ酸は火山活動や海の熱水噴出孔の近くで生成された可能性が示唆されています。
アミノ酸や小さな有機分子は、その後、自己組織化してより複雑な高分子を形成したと考えられます。例えば、熱した砂の中にアミノ酸やヌクレオチドを垂らすと、それぞれポリマー、タンパク質、核酸が生成されます。また、脂質と呼ばれる高分子は、小胞を形成して内部環境を分離したと考えられます。このように内と外を分けることができるのは、生命の大きな特徴の一つです。生命のもう一つの特徴は、遺伝情報を持っていることで、RNAが最初の遺伝情報と考えられています。プロトセルと呼ばれる特殊な小胞の中には、おそらく自己複製可能なRNAが含まれていました。そして、この単純なプロトセルが成長し、進化していくことで、地球上に細胞性生命体が形成されていったのです。