1.1: 生物学とは?
概要
生物学とは、生命と生物の構造、機能、発達、相互作用,進化,生態分布,分類などの学問に焦点を当てた自然科学です。この分野は広範囲に及び、解剖学、生理学、動物行動学、発生遺伝学や他多数の専門分野に分けられます。
あらゆる生物は複数の重要な特徴を共通に持っています。細胞組織、子孫に受け継がれる遺伝物質,適応/進化能力、エネルギー需要を調節する代謝能力、外環境と関わる能力、恒常性を維持する能力、繁殖能力、そして成長し変化する能力です。
生命の複雑さ
生命は複雑ですが,組織だって構成されます。 生物学における細胞説では、すべての生物が 1 つ以上の細胞で構成されるとされています。細胞は生命を構成する基本的な単位であり、すべての細胞は以前から存在していた細胞から生じます。 細菌のような単細胞生物でさえ、外環境と関わるといった重要な機能を果たす構造を持ち,生命や新陳代謝を維持する化学反応を行います。多細胞生物では、細胞が連携して組織、器官、臓器系、そして最終的に生物全体を形成します。 この階層的構成は、個体群、コミュニティ、生態系、生物圏にさらに拡大できます。
遺伝と適応
生物の遺伝物質である DNA にコードされた生物学的な ”設計図" は、子孫に伝えられます。 数世代にわたり、遺伝物質は生物学的(生活)環境と非生物的(非生活)環境により形作られていきます。 この過程を適応と呼びます。 うまく適応した親の子孫は、親が生きていた条件と類似した条件下で生き延びる可能性が高くなります。
先祖から受け継いだ形質が生存率を高め、繁殖を促す過程は自然選択説と呼ばれます。 自然選択説は、進化の中心的な仕組みです。 例えば、カンガルーラットは、雨がほとんどない、暑く乾燥した地域に生息します。 酷暑を避け水分を節約するために、カンガルーラットは涼しい土の中に潜り、代謝量を減らして水分蒸発を遅らせます。 このように、カンガルーラットの遺伝、つまり先の習性をコードし世代を越えて伝えられるものが、このような極端な環境下での動物の生存を可能にしています。
環境との相互作用
生物はさらにそれら環境とうまく関わっていかなければなりません。これには、資源やつがいになる相手を探して周囲の世界を進むこと、および自身の内部環境を制御することも含まれます。 恒常性は、生物が一定の内部状態を維持する能力を指します。 例えば、人間は一定の体温を維持します。 冷たくなると震え、暑すぎると汗をかき始めます。 生き物もまた、代謝、すなわちエネルギー需要を制御する化学的プロセスを維持しています。 例えば植物は日光を糖に変換し、アデノシン三リン酸に化学エネルギーを蓄えます。
基本理念から上の建造物
「生物学とは?」、「生活とは?」は、初歩的な疑問のように思えますが、理解することが重要であり、より複雑な疑問を抱くための前提条件です。 たとえば、細胞がどのように分裂し複製するかといった生命の基本的な原則の理解なしに、癌の原因を調査することは困難です。この知識により科学者は生物学的プロセスを研究するのに必要となる道具や方法を開発出来るようになります。