出芽酵母の形質転換とクローニング

Biology I

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Summary

出芽酵母は生物学の研究によく利用される単細胞真核生物です。遺伝子欠失や組み換えタンパクの誘導、細胞内組織を標識するための遺伝子操作である形質転換(細胞の外来DNA導入)という基礎テクニックが酵母実験で頻繁に用いられています。

このビデオでは、どのように、そしてなぜ酵母形質転換を使った実験が行われるかをトピックとしています。プラスミド導入のための酵母細胞の準備工程と共に酵母プラスミドの重要な特徴を紹介し、また酵母形質転換に必要な酢酸リチウム法をプロトコルに準じて見ていきます。最後にこの形質転換法の研究応用例を紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. モデル生物I: 出芽酵母、ショウジョウバエ、C. elegans. 出芽酵母の形質転換とクローニング. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

出芽酵母はヒトの細胞内プロセスを理解するために遺伝子学や生物学の研究に広く使われている真核生物のモデル生物です。 これから、酵母の形質転換すなわち外来DNAの取り込みについて見ていきます。酵母プラスミドについて、形質転換の誘導法、形質転換の工程、さらにその応用編について話していきます。

まずは形質転換に必要なDNA、プラスミドについて説明します。 プラスミドは超らせん構造、小さい環状の二本鎖DNAなので、細胞膜を簡単に通り抜けることができます。

プラスミドには、DNAを切断する制限酵素のマルチクローニングサイト、MCSがあります。 同じ制限酵素で切断された目的とするDNA断片はMCSに挿入できます。 また、プラスミドには複製開始を制御する複製起点、ORIが含まれています。 さらに、プラスミドは、特殊な条件下でのみ酵母増殖を可能にする選択マーカーを持っています。 選択マーカ含有培地では、プラスミドの組み込みに失敗した酵母は生きていけません。 その選択マーカーには、薬物耐性やアミノ酸合成酵素の遺伝情報が組み込まれています。

シャトルベクターは、複数の宿主間で複製可能なプラスミドです。例えば、大腸菌プラスミドは酵母内で増殖できます。 酵母プラスミドはゲノムDNAに組み込むこともそのまま存在することもできます。

酵母には5種類のプラスミドあるいはベクターがあります。 形質転換で最もよく使われるのは、酵母エピソームプラスミドとセントロメアプラスミドです。 どちらのベクターも自立複製配列、ARSを持っています。 ARSは複製起点を含み染色体外でも複製できます。

酵母の形質転換にはスフェロプラスト法、エレクトロポーション法、酢酸リチウム法があります。 このビデオでは、酢酸リチウム法にフォーカスしていきます。

リチウム陽イオンが細胞壁とプラスミドDNAの電荷を中和します。 その後形質転換混合物に加えられている一本鎖DNAが酵母の細胞壁に結合し、プラスミドDNAの取り込みを誘導します。 急劇な高温刺激、ヒートショックにより細胞内外の圧力差が生じ、プラスミドDNAの細胞壁透過性が上昇します。 その後温度が下がると、細胞壁が再構築され、形質転換が完了します。

さて形質転換の誘導方法を段階的に見ていきましょう。 まずは寒天培地からコロニーを埴菌し、酵母エキス、ペプトン、デキストロースを混合したYPD培地で増殖させます。

その後、培地を30℃で一晩、シェーカーかローテーターを使ってインキュベートします。 遠心分離により細胞をペレット状にし上清を除きます。 バッファーか滅菌水で細胞ペレットを再懸濁させ、これらの形質転換受容性酵母を形質転換に使用します。

酵母が準備できたら、形質転換混合物を使って形質転換していきます。

試薬混合液には滅菌蒸留水、50%ポリエチレングリコール、1M酢酸リチウム、10mg/mlの一本鎖DNA,プラスミドDNA、そして形質転換受容性の酵母が含まれています。 各溶液は、各々の研究室のプロトコルに従い正確に計り取ることが大切です。

混合液を30℃で30分インキュベートします。 酵母細胞が壊れないようボルテックスは避けてください。

次に42℃の水層で15分間ヒートショックを加えます。 その後2分間氷で冷まします。 そして遠心分離により細胞を収集します。

細胞を再蒸留水で再懸濁させ、目的の形質転換に適した寒天培地にまきます。 形質転換プレートを30℃で2日から4日コロニーが形成するまでインキュベートします。

形質転換工程では、常にポジティブ、ネガティブコントロールを使用します。 ポジティブコントロールは選択マーカーなしのYPD培地に酵母とプラスミドの懸濁液を播いたもので細胞が正常であることを確認します。 ネガティブコントロールは抗生物質を含む培地に酵母懸濁液を播いたもので、コロニーが存在せずコンタミがないことを確認します。

酵母形質転換を使って数多くの実験ができます。 その一つは、既知のベイト遺伝子を用いてタンパク質相互作用を調べる、酵母ツーハイブリットシステムです。 ライブラリーから検索された未知のプレイ遺伝子を導入したプラスミドで形質転換させると、相互作用で転写因子が遊離され、βガラクトシダーゼのようなレポーター遺伝子を活性化します。 それにより、βガラクトシダーゼの基質であるXgalを含んだプレート上のコロニーは青色を呈します。

また有性生殖時に、いくつかの遺伝子を欠損させる技術もあります。 自由組み合わせ、又は減数分裂性組み換えにより、レポーター遺伝子や欠陥遺伝子をもつ一倍体細胞を他の細胞と融合できます。 酵母の選択マーカーを利用することで欠損導入がスムーズに行えます。 フローサイトメトリー法を使って、GFP発現細胞を選択できます。

タンパク質相互作用における変異を観察するため、同時に蛍光標識することもできます。 エンドサイトーシスに必要なタンパク質相互作用の変異を蛍光顕微鏡で観察できます。

今回のJoVE酵母形質転換編では、プラスミドの基本、形質転換のための酵母誘導、形質転換の工程について学びました。ご覧いただきありがとうございました。

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