ゼブラフィッシュ入門: Danio rerio

Biology II

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Summary

ゼブラフィッシュ(Danio rerio)は、生物医学研究のモデル生物として利用される小さな淡水魚です。ゼブラフィッシュとヒトの遺伝子には非常に多くの共通点があり、簡単に、そして低コストで飼育できることは研究にとって大きな利点となります。さらにゼブラフィッシュ胚は遺伝子発現を容易に操作でき、また胚が透明であるため発生過程の観察が可能となります。

このビデオでは最初に、系統発生、生活環、生活環境などのゼブラフィッシュの基本的な生態を紹介し、その後、研究に有用となるゼブラフィッシュの特徴について説明しています。また、効率的に遺伝子スクリーニングを実施した初期の研究から、ガンのようなヒト疾患のための新しい治療法まで、ゼブラフィッシュを用いて成された偉大な発見を通してこれまでの歴史を振り返ります。そして最後に、ゼブラフィッシュを用いた免疫学や発生学などの最先端研究を紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. モデル生物II: マウス、ゼブラフィッシュ、ニワトリ. ゼブラフィッシュ入門: Danio rerio. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

Danio rerio別名ゼブラフィッシュは、生物学研究に大変革をもたらしました。ゼブラフィッシュは、一度に何百個もの卵を産卵し、体外で胚発生するため、遺伝子操作や初期の複雑な表現型の解析が容易になります。ヒトゲノムと類似しているため、ゼブラフィッシュを用いた研究はヒト疾患の解明に有益です。このビデオでは、ゼブラフィッシュの概要とすばらしいモデル生物となり得る特徴、そして今日の研究でどのように活躍しているのかを紹介していきます。

サイエンスの前に、ゼブラフィッシュについてもう少しお話しておきましょう。マウスやヒトと同様にゼブラフィッシュは、背骨を持つ脊椎動物です。

ゼブラフィッシュは条鰭網(じょうきこう)に属する硬骨魚類であり、ひれに多数の筋があるのが特徴です。もっと厳密には、ゼブラフィッシュは、脊椎動物全体で最も大きなファミリーであるコイ科に属しています。コイ科にはキンギョなど2400種が所属しています。

ゼブラフィッシュはコイ科の中では最も小型であり、成魚でも体長は30から40mmほどです。ゼブラフィッシュはシマウマにちなんでその名がつけられました。そういう意味ではなく、体表にシマウマのような縦じまを持つことに由来しています。

ゼブラフィッシュは、ヒマラヤ地方原産で、淡水中にゆったりと生息しています。とはいっても見つけるためにわざわざ出かける必要はなく、簡単に手に入れることが出来ます。

ゼブラフィッシュの生活環は以下の4つの段階に分かれます。胚、幼生、稚魚、成魚です。雌と雄のペアが卵と精子を放出したとき生活環がスタートします。受精後すぐに初期発生が始まり、3日後までに胚が孵化し、幼生になります。この時点から子孫を残せる成魚になるまでは2ヶ月から3ヶ月を要します。

ここからはゼブラフィッシュが研究に有益なモデルとなる理由を考えていきましょう。第一に、狭いスペースで大量に飼育でき、ケアも単純で、他の脊椎動物のモデル生物に比べ低コストで維持できることが挙げられます。

次に、繁殖力が高く、成魚は週に1度の頻度で産卵することです。

そして研究にうってつけな点は、ゼブラフィッシュ胚が体外で発生することです。このことからマイクロインジェクション法による遺伝子発現を容易に操作できます。さらに、胚が透明であるため、初期発生過程を生きたまま観察することも可能です。

重要なことは、ゼブラフィッシュの遺伝子の多くがヒトを含む高等脊椎動物と共通していることです。ゼブラフィッシュのゲノムは、25の染色体と15億の塩基対から成ります。これはヒトゲノムの約半分のサイズであるにも関わらず、ヒトの遺伝子と約70%が共通しており、それらは現在知られているヒト疾患の約80%に相当します。

ゼブラフィッシュがいかに偉大なモデル生物であるか知ったところで、次は研究へどう貢献してきたかを見てみましょう。1970年代、George Streisingerがゼブラフィッシュモデルを確立しました。同時期に他のグループは、ショウジョウバエや線虫で発生遺伝学的基礎解析を行っていました。魚愛好家であったStreisingerは、ゼブラフィッシュが発生学研究の脊椎動物モデルとなる可能性を確信し、”雌性(しせい)単為(たんい)発生”胚の技術を発展させました。この胚のゲノムは完全に雌由来のため、短期間でホモ変異体を獲得することができます。

1995年、Charles Kimmelとその同僚は正常なゼブラフィッシュの詳細な特性解析を行い研究に寄与しました。

その1年後、Christiane Nusslein-Volhard、Mark Fishman、Wolfgang Drieverの3人は、脊椎動物での大規模な変異体スクリーニングをアメリカのボストンとドイツのチュービンゲンで実施した結果を発表しました。Nusslein-Volhardのショウジョウバエでの研究をモデルとし、胚発生に関わる遺伝子を特定するためにゼブラフィッシュのスクリーニングが実施され、2000個を超える突然変異体が報告されました。突然変異体の解析は我々自身の生態解明につながります。

2005年、Keith Changとその同僚は「ゴールデンゼブラフィッシュ」の色素異常に関わるslc24a5遺伝子のクローン化を行いました。「ゴールデン」表現型は、Changにひらめきを与え、この特異的遺伝子が、魚やヒトの皮膚細胞でのメラニン色素の合成に不可欠であり、さらにこの遺伝子の変異が多様なヒトの肌色と密接な関係にあることを報告しました。

2011年、Leonard Zon研究室の研究者が、ゼブラフィッシュ胚を用いた実験からメラノーマの新しい治療法を発見しました。化学物質のスクリーニングから、メラノーマを引き起こす細胞の増殖を抑制するレフルノミドを含む薬物群を見つけ出しました。現在、臨床試験中のレフルノミドは、ゼブラフィッシュのハイスループットスクリーニングにより選別された新薬の一例です。

ゼブラフィッシュのモデル生物としての価値を理解したところで、今日の研究について見ていきましょう。

ゼブラフィッシュはヒト遺伝性疾患モデルとして非常に有用です。初期胚へのマイクロインジェクションによりタンパク質発現を変化させることで、病態を簡単に再現できます。また、触覚に異常反応を示すデュシェンヌ型筋ジストロフィーモデルのような突然変異体の利用も可能です。

受精後数日で自然免疫系が確立されるため、ゼブラフィッシュ胚は感染性疾患の研究にも応用できます。この研究ではバクテリアを血流に注入し、宿主反応を蛍光標識されたマクロファージの形質転換系を使ってリアルタイムで映像化しています。

また、ゼブラフィッシュ胚は透明であるため、オプトジェネティクスと呼ばれる最先端の神経科学研究技術を応用することも可能です。胚に操作を加え、単離ニューロンにタンパク質を発現させ、細胞を光学活性化することで神経回路機能を特定することができます。

ここまでゼブラフィッシュ入門編をご覧いただきました。このビデオでは、ゼブラフィッシュが無脊椎動物モデル系の利点を合わせ持つ、優れた脊椎動物のモデル生物であることを実証してきました。今後、ゼブラフィッシュを用いた研究により更なるヒト疾患の病態解明や臨床的に有用な新しい治療法の発見が成されることでしょう。ご覧いただきありがとうございました。

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