ゼブラフィッシュの繁殖と胚の取り扱い方

Biology II

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Summary

ゼブラフィッシュ(Danio rerio)は、発生生物学の研究にとって特に重要なモデル生物です。ゼブラフィッシュは繁殖能力が高く、週に何百もの子孫を誕生させることができるため、比較的簡単に大量の胚を収集でき、たくさんのサンプル数を揃えることができます。さらにゼブラフィッシュの発生は早く、胚は透明であるため、発生過程を容易に観察できます。

このビデオでは、ゼブラフィッシュの受精直後の胚を収集するための重要なステップを紹介しています。ゼブラフィッシュの繁殖行動の概要、繁殖用タンクを使って適切に交配させる方法、さらに、水槽を準備し翌朝産卵を開始させるための条件について解説しています。それから、胚を取り扱うための重要なテクニック、例えば、色素の発生を防ぐための化学薬品PTUの使用や胚を取り囲む卵膜(chorion)の除去方法などを説明しています。最後に、実際にこのテクニックがどのように発生の研究に用いられているのか紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. モデル生物II: マウス、ゼブラフィッシュ、ニワトリ. ゼブラフィッシュの繁殖と胚の取り扱い方. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

ゼブラフィッシュは小さくても強力なモデル生物です。この魚は週に何百個もの卵を産み、生涯で何千もの子孫を残します。胚は体外発生し、さらに透明であるため、様々な研究に応用されます。このビデオでは、基本的な胚の収集と取り扱い方、そしてゼブラフィッシュ胚の利点を活かした今日の研究について紹介していきます。

胚を得るために、ますはゼブラフィッシュの繁殖行動について知っておきましょう。

ゼブラフィッシュは有性生殖を行うため、繁殖にはオスとメスが必要になります。オスは赤みを帯びており、メスはオスより大きめで銀色の腹部は卵でふくれています。

定期的な交配により卵を得ることができますが、数が多く大変手間がかかるため、一匹のメスに週に一度のペースで産卵させます。

他の多くの動物と同じく、感覚刺激により繁殖行動が行われます。オスのにおい刺激によりメスは産卵準備を整え、さらにムード照明によってオスの準備も整います。

オスとメスの見分け方が分かったら、実際に交配させていきましょう。ゼブラフィッシュを交配させるには繁殖用タンクを利用します。一般的に、取り外し式のインサートと卵が下に通過できる穴があるのが特徴です。この構造により卵が魚に食べられるのを防ぎます。

まずは、午後又は夜にオスとメスを同じ水槽に入れます。翌朝初期胚を収集するために、仕切りをしてオスとメスを隔離します。これは実験準備が整う前に産卵が起こるのを防ぐためです。魚が飛び出さないように、繁殖用タンクには蓋をしておきましょう。そして、一晩そのままの状態で置いておきます。

一晩同じ水槽にオスとメスを入れておくと、翌朝産卵します。

朝になったら、仕切りを取り外し産卵を開始させます。仕切り板を使わない場合は、ライトを付けた直後に産卵行動が始まることを知っておいてください。

オスがメスを追いかけまわして排卵を刺激し、同時にオスは精子を水中に放出します。仕切りを外してから約15分〜30分待ちます。その後、魚を水槽から取り出します。このときネットを使用するか、又はインサートを持ち上げ魚を別の水槽に移してください。

次に、茶こしに水を注ぎ込み、胚を収集します。それから卵海水を使って茶こしからペトリ皿に移します。胚をペトリ皿に移動させるときの最適個数は一皿50個〜100個です。適切に発生させるために、28.5℃のインキュベーター内に置いておきます。

収集した胚は大切に取り扱わなければなりません。これは実験する上でとても重要なポイントです。注意点をいくつか見ていきましょう。

胚の健康を維持するために、ペトリ皿の水は清潔に保ってください。不透明となった死滅胚は一日一回取り除きます。また、水にメチレンブルーを加えておくと、かびの発生を防ぐことができます。

胚の移動にはトランスファーピペットを使用して下さい。皿を回転させ、胚を中心に集めるとピペッティングが簡単にできます。

プロトコルによっては、胚のメンテナンスステップが追加で求められます。受精後最初の3日まで、ゼブラフィッシュ胚は卵膜中で発生します。卵膜は胚操作の妨げとなるため、タンパク質分解酵素やプロナーゼ処置又は鉗子を使って取り除きます。また、受精後24時間で色素沈着が始まるため、この幼生のように、顕微鏡観察が難しくなります。この問題を解決するために、PTUを飼育水に入れておくと、メラニン色素の生成を抑制できます。

ゼブラフィッシュ胚の収集とケアについて学びました。ここからは、胚を利用してどのような研究が行われているのか見ていきます。

ゼブラフィッシュ胚は体外発生するため、DNA、RNAのマイクロインジェクションによる遺伝子操作を容易にします。この手法を使って注入液を胚全体に拡散させることで、タンパク質の過剰発現や欠損を誘導でき、その表現型を観察することができます。また、このテクニックを使ってトランスジェニックフィッシュを作製し、蛍光タンパク質で特異的構造を標識することができます。

ゼブラフィッシュの胚や幼生はとても小さいため、表現型スクリーニングにも最適です。ここでは胚を96ウエルプレートにロードしています。それから次に低分子化合物ライブラリーの化学物質を処置します。すると、ここで見られるような形態異常を起こした化合物をスクリーニングできます

さらに、ゼブラフィッシュの胚は透明で顕微鏡観察に非常に適しています。生きた胚の中の特異的な細胞に蛍光タンパク質を発現させ、共焦点顕微鏡を使用し、組織発生段階での細胞移動を経時的に観察することができます。

ここまで、ゼブラフィッシュの繁殖と胚の取り扱いについてご覧いただきました。このビデオでは、交配、繁殖用タンクのセットアップ、胚の取り扱い方の基本とこの強力なモデル生物を利用した研究を紹介しました。ご覧いただきありがとうございました。

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