ゼブラフィッシュのメンテナンスと飼育

Biology II

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Summary

ゼブラフィッシュ(Danio rerio)は、発生の研究や疾患モデルとして、さらに新薬開発のために利用される強力なモデル生物です。体が小さいため、研究室では大量のゼブラフィッシュを低コストで飼育することができます。メンテナンスは比較的簡単ですが、魚の健康を維持し効率的に繁殖させるためには、食事と水の管理への特別な配慮が必要となります。

このビデオは、研究室でのゼブラフィッシュの飼育とメンテナンス方法をトピックにしています。自然界のゼブラフィッシュの生態について簡単に触れ、その環境を研究室でどのように再現していくのか、例えば、水の再循環を用いた飼育システムやゼブラフィッシュのエサとなるブラインシュリンプの準備方法などの重要なコツを説明しています。さらに、ゼブラフィッシュの系統を確認するために、尾びれサンプルからDNAを抽出し遺伝子型を決定する方法や、ゼブラフィッシュの飼育環境を操作することで私達自身の生態解明につながる研究が実施されていることなどを紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. モデル生物II: マウス、ゼブラフィッシュ、ニワトリ. ゼブラフィッシュのメンテナンスと飼育. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

ゼブラフィッシュを用いた研究を成功させるためには適切な飼育が鍵となります。最適な水質管理が、魚の健康を維持し実験の再現性を向上させます。また、ゼブラフィッシュの産卵時には栄養状態がとても重要になります。このビデオでは、研究室でのゼブラフィッシュの飼育方法、取り扱いや管理の仕方、生物学研究のための環境条件について紹介していきます。

まずは、魚の生育環境の基本を学びましょう。

自然界のゼブラフィッシュは元々ヒマラヤ地方の淡水に生育していました。多くの時間をゆったりとした新鮮な水の中で過ごします。

この環境を研究室で再現するための鍵は水です。淡水を手に入れることは簡単だと思われるかもしれませんが、水道水は塩素を含み汚染の可能性もあるためゼブラフィッシュにとっては有毒です。そのため水槽には逆浸透装置のような浄化装置を設置します。そして精製水に塩と緩衝液を加えて塩分とpH条件を最適にします。

たくさんの魚を限られた量の水で飼育することで、実験効率がアップします。魚が泳ぎ回るとすぐに汚れが蓄積するため、水の交換が必須となります。その結果、多量の水が必要となるため、循環系を備えた飼育システムを利用し水の使用を最小限に抑えます。汚れた水はフィルターを通って紫外線殺菌されてから水槽に戻されます。

ゼブラフィッシュの飼育には様々なサイズの専用の水槽を利用します。水の蒸発や魚が逃げるのを防ぐために水槽には蓋をします。その蓋にはきれいな水が流入するための穴が必要です。水槽の背面には排水機構があり、水かさが一定に保たれます。排水機構には小さな穴があいたバッフルが取り付けられており、汚れた水は通しますが、魚は吸い込まれないようになっています。

水を換えても、藻類や汚物は蓄積してしまうため、定期的に掃除を行うようにします。

また、飼育環境を整えることもとても大切になります。温度は摂氏28℃、華氏80℉付近に設定します。また、魚のサーカディアンリズムを維持するために、明暗サイクルの明期を14時間、暗期を10時間に設定します。

次にゼブラフィッシュの食事について見ていきましょう。

自然界のゼブラフィッシュは、動物プランクトンや昆虫を食べて生育しています。研究室では、ドライフードと小さな生き物を組み合わせてエサにします。幼生や稚魚にはゾウリムシなどの生きた微生物を、成魚には市販のパウダーとブラインシュリンプという小型の甲殻類を与えます。

ブラインシュリンプの卵は、シストと呼ばれる休眠卵であるため室温で保存でき非常に便利です。ブラインシュリンプの硬い外殻は漂白剤を使って取り除きエサとします。卵はしっかりと洗浄し、エアレーション装置にセットし、約1日塩水につけておきます。孵化したブラインシュリンプを収集し濾し器を使って水洗いしたら容器に入れます。通常ゼブラフィッシュのエサやりは1日2、3回行い、生きたエサとドライフードを交代で与えます。エサを与える間は水流を止めて、魚が食べる前にエサが流れてしまうのを防いでください。

飼育環境とエサの後は、魚の取り扱い方や系統の維持について見てきましょう。

研究室の飼育施設では様々な種類のゼブラフィッシュ、例えばワイルドタイプ、変異体、そしてトランスジェニックなどが飼育されています。これら全ての魚を把握するために、水槽にラベルを付け、遺伝的に類似したバックグラウンドを持つ魚は一緒にしておきます。ラベルには、遺伝子型や出生日など識別するための情報を記載しておきましょう。

ゼブラフィッシュの生殖能は、最初の1サイクルが終了すると低下し始めるため、年に1度系統を新たに補充します。ゼブラフィッシュは近交系では生き残れないため、 遺伝的多様性を維持するために異系交配により子孫を誕生させます。

トランスジェニックや突然変異体を異系交配させる場合は、蛍光標識や目的の遺伝子型解析を行い確認します。遺伝子型を決定するために、トリカインを用いて麻酔をかけ、尾びれを細かくカットしDNA解析を行います。

尾びれのサンプルからDNAを単離し、PCR法により特定配列を決定します。結果を待つ間、魚を個別に小さな水槽に入れ識別用のラベルを付けておきます。

ここまで標準的な飼育条件を学んできました。そこで、生物学研究のためにこの条件をどう操作するのか考えてみましょう。

飼育システムの水温は、ゼブラフィッシュの健康に大きく影響します。ここでは、糖尿病モデル作製のために、膵臓に損傷を与えるストレプトゾシンを投与し、水温を下げた水槽で飼育しています。糖尿病の魚では腎臓や目の損傷、ひれ再生能力の低下などが起こるため、糖尿病の生物学的解明に役立ちます。

また、特別な実験を行うときには水槽システムを操作することもできます。魚の遊泳行動の実験は、不安、攻撃性、社会的行動などの研究に利用されます。ここでは、普通の魚と神経刺激薬を処置した魚の泳ぎ方の違いをビデオ撮影し解析しています。このような実験は、神経科学的メカニズムの解明とそれを利用した新薬開発のためのツールとなります。

ゼブラフィッシュは光の条件にも影響を受けます。強い光を処置することにより網膜の光受容細胞を失った魚は、損傷した網膜組織を修復するために細胞増殖能力が亢進します。このことは、ヒトの網膜変性疾患の治療に光をもたらすかもしれません。

ここまでJoVEゼブラフィッシュのメンテナンスと飼育編をご覧いただきました。飼育環境、エサ、管理方法に関する必須事項をお伝えしました。ご覧頂きありがとうございました。

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