ニワトリ: Gallus gallus domesticus入門

Biology II

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Summary

ニワトリ(Gallus gallus domesticus)の胚は、卵の中で発生し母鶏の体外で孵化するため、発生生物学の研究に極めて有用なモデルとして利用されます。卵の殻に穴を開けるだけで、初期発生過程の観察や実験操作が可能となります。今日では世界中で何十億羽という鶏が肉や卵など食用目的で飼育されているため、1年を通じて大量の受精鶏卵を容易にまた低コストで手に入れることができます。さらに、ニワトリとヒトの遺伝子は非常に類似しているため、ニワトリの発生に関わる遺伝子を調べることでヒトの発生メカニズムを知ることができます。

このビデオは、モデル生物としてのニワトリについて学ぶことができます。ニワトリの系統発生の概要やその他の鳥類、爬虫類、哺乳類と同じ有羊膜類に属するニワトリの特徴を解説しています。また、古代ギリシアでAristotleが胚体外膜の働きについて提唱したところから近年のノーベル賞受賞に至った神経科学研究までの長いニワトリ研究の歴史も紹介しています。さらに、発生過程の細胞の動きをin vivoで追跡する実験や血管新生による腫瘍増殖の研究など、現在進められているニワトリ胚を利用した研究を紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. モデル生物II: マウス、ゼブラフィッシュ、ニワトリ. ニワトリ: Gallus gallus domesticus入門. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

ニワトリ、学名Gallus gallus domesticusは、生物学研究にとって重要なモデル生物です。鶏卵中の胚は、遺伝子や発生学的な操作に利用されます。ヒトと遺伝子が類似しているため、ニワトリを利用してヒトの病態メカニズムを解明するための研究が行われます。このビデオでは、モデル生物としてのニワトリの概要とそれを利用してなされた偉大な研究成果、さらに今日の研究への応用例を見ていきます。

サイエンスの前に、まずはニワトリの生物学の基礎を知っておきましょう。 Gallus gallusは爬虫類や哺乳類と同じ脊椎動物亜門、有羊膜類に属し、胚が羊膜に保護された状態で発生するのが特徴です。その膜のおかげで、何百年も昔の有羊膜類の祖先たちは陸での生活が可能となりました。これは陸生活に適応した卵の誕生でした。

ニワトリは鳥綱の中でも、生涯の大半を陸で過ごす陸生鳥類が属するキジ科に分類されます。おいしい食料源として私達が認知している鶏は、学名Gallus gallus、一般的にはセキショクヤケイとして知られる種類で、東南アジアに生息しています。今日では、何十億という鶏が家畜として世界中で飼育されています。

人間の主要な食物であるニワトリは一体どんな食べ物を好むのでしょうか? 雑食性であるニワトリは、虫や種、植物を求め動き回ります。特にメスつまりメンドリは、ほぼ毎日卵を産み続けるためにたくさんの栄養が必要になります。ご存知の通りオスつまりオンドリは大きくカラフルで非常にうるさいのが特徴です。

オスとメスが交尾し、体内で受精するところから生活環がスタートします。25時間後には多細胞性の胚をもつ卵として産卵されます。そして21日後には卵が孵化します。その後31週までに性的に成熟し生活環を完了します。

科学研究におけるニワトリ人気の理由を考えてみましょう。まずは、受精鶏卵を比較的低コストで簡単に手に入れられることが挙げられます。2つ目に培養温度の調整により正確なタイミングで発生の実験ができることです。

3つ目に、体外で胚発生が進むため、殻に穴を開けるだけでほとんどの発生ステージにアクセスが可能になることです。また卵白中のアルブミンには抗菌作用があるため、胚は実験操作に耐えることが出来ます。

そして最も大事なことは、ニワトリとヒトのゲノムの類似性です。ニワトリのゲノムサイズはヒトの約3分の1ですが、遺伝子の数はほぼ同じなのです。ヒト遺伝子との相同性は60%であり、そのうち約75%はヒトと全く同じであることが分かっています。

ニワトリが素晴らしいモデル生物であることが分かったところで、いくつかの鍵となる発見を見ていきましょう。ニワトリの研究は古代ギリシャまで遡ります。Aristotleは、発生卵の中に胚体外膜を発見し、ヒトの胎盤と臍帯が胚にとって必須となる栄養素を供給していることを提唱しました。それから月日は流れ1672年、Marcello Malpighiは発生ニワトリ胚を使って脊椎動物の基本構造、例えば、神経系を形成する神経管や骨格筋などの様々な組織に分化する体節を描写しました。

1817年、Heinz Christian Panderは初期のニワトリ胚を研究し、胚葉と呼ばれる三つの層を発見しました。この三胚葉は外胚葉、中胚葉、内胚葉と呼ばれここから全ての組織が形成され臓器が作られていくのです。この業績からPanderは発生学の創始者という称号を得ました。

1951年、Viktor HamburgerとHoward L. Hamiltonは、産みたての卵から孵化するまでの胚を解剖に基づき識別し46の発生ステージ表を発表しました。このステージ表を利用すると、胚発生ステージを標準化できるため、培養温度の違いによる変動を抑制できます。

また1950年代には、Rita Levi-Montalciniにより、マウス肉腫を移植することでニワトリの神経を伸長させる謎めいた因子が発見され、その後研究に加わったStanley Cohenがこの因子がNGFつまり神経成長因子であることを特定し、1986年二人はノーベル賞を受賞しました。

ニワトリを用いた研究による重大な発見を知ったところで、今日の研究について見ていきましょう。

ニワトリ胚は初期の細胞の動きを追跡するために頻繁に利用されます。周辺と識別するために、ウズラなど他の鳥類の細胞をニワトリ胚に移植します。ウズラ特異的マーカーを用いて、構造に組み込まれていく発生過程を数日にわたって観察します。

ニワトリは神経パターン形成の研究にも非常に有用です。胚から収集した神経組織を利用して軸索のトレーシング、神経回路や神経活動の評価ができます。

漿尿膜又はCAMでは血管新生が非常に起こりやすいためがんの研究に利用されます。ニワトリ胚は通常免疫不全状態にあるため、ヒトがん細胞を移植すると容易に漿尿膜血管を支配し、腫瘍が定着します。このCAMを解析することでがん性細胞の転移について研究することができます。

ここまでJoVE、Gallus gallus入門編をご覧頂きました。このビデオでは、ニワトリの概要、ニワトリ胚が素晴らしいモデル生物となる理由、それを用いて成された偉大な科学的発見と今日の生物学研究を紹介しました。ご覧いただきありがとうございました。

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