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Basic Methods in Cellular and Molecular Biology

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血球計算盤を利用した細胞数の数え方
 
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血球計算盤を利用した細胞数の数え方

Summary

Overview

多くの生医学実験において、正確で再現性があり正しい統計データを得るために、細胞数の確認が求められます。故にどの分野の生物学者にとっても、細胞数の計測は特に必要不可欠なテクニックとなります。細胞数計測の最も一般的なものは血球計算盤を使用した方法です。(血球計算盤; レーザー加工された二つのグリッドを持ち、分注した細胞を光学顕微鏡下で計測可能な実験器具。)この方法で得たデータにより実験サンプル中の細胞数を推定できます。

このビデオでは、実験細胞サンプル濃度の調整法(細胞が多過ぎたり、少な過ぎたりすることを防ぎます)、少量(10μlまで)の細胞溶解液を計測するときの細胞血球計算盤の操作方法、血球計算盤にレーザー加工されたグリッド区画の選択方法、各区画使用時の実験サンプル中の総細胞数の計算方法、トリパンブルーを用いた実験細胞集団の生存率の確認方法、について説明しています。さらに、正確な細胞数計測が必要となる実験場面や自動細胞カウンターの紹介もしています。

Procedure

細胞数の計測は、細胞を使ったアッセイを行う際の細胞数決定や生存率を確認するための重要なステップです。一般にその目的として、実験に応じたサンプルの希釈倍率を把握することが挙げられます。

細胞カウントに用いる最も一般的な実験器具は血球計算盤です。

血球計算盤はもともと血液細胞のカウントを目的に作られた計測器です。 血球計の中央にはレーザー加工されたグリッドをもつ2つの計算室が配置されています。

グリッドは9つの区画で構成されています。 四隅にはさらに16個の小さな区画があります。 中心区画は25分割されています。 そして各々がさらに16分割されています。

各計算室の端には細胞注入部があり、測定する細胞サンプルを注入できます。

両方の計算室に石英カバーガラスをのせ封入すると、計算室からガラスまでが約0.1mmの厚さになります。

大きい正方形は各1 mm2なので、それぞれの正方形には0.1 mm3 つまり1mlの1万分の1の容量が含まれることになります。

カウントを始める前に、必ずカバーガラスと計算室の汚れ、指紋、水跡をエタノールで洗浄し、キムワイプで水気を除去します。

それからゆっくりと少量の水で各カバーガラスの側面をぬらし、表面張力でカバーガラスを固定します。

次に細胞懸濁液中の細胞の塊を崩すためにピペット等を使い優しく撹拌します。 マイクロピペットで懸濁液約10 μl を吸引し、溝にサンプルを注入します。 毛細管現象を利用して計算室に溶液をしっかりと満たします。

細胞を注入したら、対物レンズを選びます。 その後血球計算盤を顕微鏡にセットします。

次に顕微鏡で細胞を観察していきます。 そのとき大きい正方形内の細胞数が5個以下であれば、希釈前の細胞サンプルを再びより少ない量で再懸濁させる必要があります。 逆に細胞が重なっている、もしくは単に密度が高すぎて数えにくい場合は、サンプルをさらに希釈する必要があります。 細胞希釈した旨はきちんと記録しておきましょう。 あとで計算する際に必要となります。

これから細胞をカウントしていきましょう。

最初に述べたように、計算室はレーザー加工されたグリッドで覆われています。 その線によって細胞のカウントがしやすくなっています。 サンプルの細胞濃度によって利用する区画のサイズを選びます。例えば、細胞数が少ない場合は四隅の区画の一つを利用します。 中程度であれば、16個ある小さい区画の一つを使います。 高濃度のときは、25個ある中心区画の一つを使用します。

区画のサイズ、サンプル濃度に関わらず、一つの区画内に少なくとも20個から50個の細胞が確認できるのが理想です。

しかし全ての細胞がきちんと区画内に収まるわけではありません。 上と左側の線上の細胞はカウントし、下と右側の線上の細胞は無視します。 正確にカウントするためにカウンターを使用し、同じサイズの4つの区画内の細胞数の平均を算出します。

細胞数は1mlあたりの

カウント数X1万倍の数になります。 なぜなら前に述べたように、グリッド上の大きい正方形は1mlの1万分の1だからです。 大きい区画を使用した場合は、その数をそのまま細胞数とします。 四隅の小さな区画を使用する場合は、カウント数を16倍します。25個ある中心区画の一つのを使用するときは、25倍します。 また血球計算盤にのせる前に細胞懸濁液を希釈した場合には、さらに希釈係数を乗ずる必要があります。

例えば中心区画に20個の細胞があれば20x104個に25を掛けて1mlあたりに5 x 106個の細胞が含まれていることになります。

1ml中の細胞数が分かったら、次にその数字に溶液の総容量を乗じます。 例えば、1ml中に5 x 106個の細胞があるとしたら、2ml中には1 x 107個の細胞があることになります。

そして数え間違い、細胞の不均等分布、ピペッティングエラーによる誤差をなくすために、もうひとつの計算室にもサンプルを注入し、細胞を2回カウントします。

顕微鏡下での細胞のカウントは、サンプルの細胞生存率の評価にも有用です。 そのためには生体染色用のトリパンブルーをサンプルに混合後に血球計算盤に注入します。

生きている細胞では膜透過する物質が制限されるためこの染色液は透過できません。逆に死んだ細胞の膜は損傷しており、トリパンブルーを取り込むため細胞質が染色されます。

細胞の生存を確認するためには、分注した細胞懸濁液とトリパンブルーを混和し、その後通常と同様に計算室に注入します。顕微鏡下で生細胞は明るく輝くので、これをカウントします。一方、青く染まった死んでいる細胞はカウントしません。

通常通り細胞数を計算します。このとき最後にトリパンブルーの希釈係数を乗ずる必要があります。

例えば、前に出てきたサンプルをトリパンブルーと1:10で混和した場合、さらに10倍する必要があるので、総細胞数は1x108個になります。

計測終了後はカバーガラスと計算室の掃除を忘れないようにしましょう。

細胞の数え方をマスターしたところで、次に、実験の際に細胞数を知る必要性について考えてみましょう。

正常細胞から細胞を分離したあとには、細胞を何個回収できたか知ることが大切です。

ここでは、マウスの脾臓から分離した脾臓細胞の数を確認しています。

2種類の細胞集団を用いてどう反応するか確認したいときにも、各細胞を何個ずつ混合したのか知ることが重要となります。 ここではB細胞とT細胞を混合しています。

その他にも細胞を使ったアッセイでの細胞計測法を紹介します。 これは ELISPOT 法です。 ヒトパピローマウイルスに反応する炎症性タンパク質、インターフェロンγを分泌するサンプル中の細胞数を確認できます。

目的の細胞からmRNAの抽出や分離を行う実験では、十分な量のmRNAを獲得するために最初の細胞数の確認が重要となります。

血球計算盤は、安価で比較的簡単に細胞をカウントできますが、操作が単調で、人的ミスを起こしやすいという欠点があります。

Scepter Handheld Automatic Counterは名の通り、手で握れる計測器具で血球計算盤よりも精度が向上しており、サンプル中の細胞の大きさと量を共に判別可能です。

TC10 automated cell counterは、細胞数と生存率の両方を評価可能です。 サンプル中の細胞数を自動計測でき、計測器のスクリーンで細胞を見ることもできます。

ここまでJoVE細胞カウント編を見ていただきました。 このビデオでは、細胞数と生存率の測定方法、細胞のカウントが必要となるいくつかの実験例を紹介しました。 ご覧いただきありがとうございました。 青い細胞は数えないでくださいね。

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