34.21: アポプラストとシンプラスト

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Biology
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The Apoplast and Symplast

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01:46 min
February 27, 2020

植物の成長は、土壌中の水や溶存ミネラルをいかに取り込むかにかかっています。植物の根系には、水や溶質を取り込むために必要な組織が備わっています。水分やミネラルの輸送に関わる植物の組織には、大きく分けてアポプラストとシンプラストという2つの区画があります。アポプラストには、細胞壁、細胞外腔、木部、師部、仮道管など、細胞の細胞膜の外側にあるすべてのものが含まれます。一方、シンプラストは、生きている植物細胞の細胞質全体と、細胞をつなぐ細胞質内のチャネルである原形質連絡から構成されています。

植物の組織の中を分子が移動する経路はいくつか考えられます。アポプラスト経路、シンプラスト経路、膜横断経路です。アポプラスト経路では、水や溶解したミネラルが細胞壁や細胞外の空間に沿って移動します。シンプラスト経路では、水と溶質が細胞質に沿って移動します。この経路では、細胞から隣の細胞に移動する際に、物質は細胞膜を越える必要があり、原形質連絡を介して移動します。また、膜貫通経路では、溶解したミネラルや水が細胞から細胞へ移動する際に、細胞壁を越えてある細胞から次の細胞へと入ります。これらの3つの経路は相互に排他的なものではなく、溶質によっては程度の差こそあれ、複数の経路を利用することもあります

もう1つの可能性のある経路は液胞経路ですが、この経路はほとんどが水分子の移動に限定されます。ここでは、水は浸透圧によって植物細胞の液胞内を移動します。メカニズムは対称性経路と似ていますが、輸送が細胞質に限られるのではなく、水は液胞を通過します。さらに、液胞の輸送は、2つのプロトンポンプ(ATPaseとPPase)によって促進され、溶質の取り込みに活力を与えています。また、液胞には特殊な輸送タンパク質であるアクアポリンが存在し、水やグルコース、スクロースなどの溶質の輸送に関与しています。