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1.3:

科学的方法

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Biology
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The Scientific Method

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科学的手法とは 疑問に答えるための 詳細で段階的なプロセスのことです 第一段階で観察を行います 例えば 科学者は ナメクジはキャベツをダメにしても ニンニクの近くのものは 荒らさないことに気づきます そうした観察により疑問が生じます ナメクジがキャベツ畑を荒らすのを 防止するのに ニンニクを使えるだろうか?質問をまとめた後 科学者は具体的で 検証可能な予測につながる 観察に対する仮説や 潜在的な説明を打ち立てます この場合はニンニクが ナメクジを撃退するという仮説で ニンニクの輪に囲まれたキャベツの植物は ニンニクの輪に囲まれていないキャベツよりも 被害が少ない という予測が生まれます 次の段階の実験では 仮説を排除することを意図した 一連の実験を通して アイデアが検証されます 実験の設定では変数を定義します 1つは独立変数で 検査される項目です この場合はニンニクの追加です もう1つの従属変数は キャベツにいるナメクジの数など 結果を見定めるのに 用いられる測定値を表します 加えてナメクジを 実験群と統制群に 分ける必要があります 統制群と実験群は 仮定の操作以外は ニンニクのないキャベツの区画と ニンニクにさらされているキャベツという 実験群と同じ状況に置かれます データを収集し分析した後 結論が出され 結果が他の科学者に伝えられます 新たな疑問が絶えず生じて このサイクルが繰り返されます

1.3:

科学的方法

概要

科学的方法とは、生物学者や他の分野の科学者が活用している、綿密で経験的な問題解決プロセスです。 この反復的な手法は、観測に基づく疑問を呈すること、観測に対し検証可能で可能性のある解釈(仮説と呼ばれる)を作ること、仮説に基づいて予測を立てて検証すること、調査結果を用いて新しい仮説と予測を立てることを伴います。

一般的に、予測は入念に設計された実験を使って検証されます。 これらの実験の結果に基づいて、最初の解釈は改良する必要がある場合もあり、新しい仮説や疑問が生まれる場合もあります。重要なことに、科学的手法は段階的な手順書ではありません。それよりも、科学的手法は新しい観測に基づき考えを継続的に改良し検証していくことであり、その手法は科学的探究の核心です。

科学は我々が周りの世界について学ぶほど、変わりやすく、絶えず変化します。このため、科学者は特定のアイデアを「証明」することを求めません。代わりに、彼らは与えられた仮説を裏付けたり仮説に異議を唱える証拠を集めます。

観測と仮説の設定

仮説は最初の観測の後に立てられ、その間に視覚、聴覚といった五感または科学的な道具や機器を使用して、情報が集められます。この観測が、最初の仮説、すなわち疑問に対する(検証可能な)可能性ある答えの形成を促します。例えば、ナメクジはキャベツを食べますが、ニンニクの近くにあるキャベツを食べないという観測は、「なぜナメクジはニンニクの近くにあるキャベツを選んで食べないのか」という疑問をもたらすかもしれません。この疑問に対する可能性ある仮説、つまり答えの 1 つは、ナメクジにはニンニクに嫌悪感を持っているというものです。この仮説に基づいて、ある人はニンニクの粉末の輪で囲んだキャベツをナメクジが食べないと予測するかもしれません。

仮説は反証可能でなければなりません、つまり仮説が真実でない場合は仮説を反証する方法があるということを意味します。 言い換えると、仮説は検証可能でなければなりません。 科学者たちはしばしば、仮説と逆のことを明確にし明示的に検証しますが、これを帰無仮説と呼びます。この場合、帰無仮説は、ナメクジにはニンニクに対する嫌悪感がない、というものです。 予測に反して、ニンニクの粉末に囲まれたキャベツをナメクジが食べれば、帰無仮説が裏付けられることになります。

仮説の検証

可能な時、科学者たちは、独立変数と従属変数、および対照群や実験群を含む操作された実験を用いて仮説を検証します。

独立変数とは、効果が期待される項目のことです(ナメクジとキャベツの実験で使われるニンニク粉末や、臨床試験で行われる治療など)。従属変数とは、実験の結果を決定するのに使用される測定値です。ナメクジとキャベツ、ニンニクの実験では、キャベツを食べるナメクジの数が従属変数になります、なぜならこの数はキャベツの周りにニンニク粉末の輪が有るか否かによって変わると予想されるからです。

実験には実験群と対照群が必要です。 実験群は、独立変数、すなわち操作や処置で処理されたり晒されたりするものです。例えば、ナメクジを使ったニンニクの実験では、実験群はニンニク粉末の輪で囲まれたキャベツのグループになります。対照群は、独立変数を除いて、実験群と同じ条件に置かれます。この実験の対照群には、同じエリア内のニンニクでない粉末で囲まれたキャベツのグループ(粉末への嫌悪感を調節するため)と特定の物質で囲んでいないグループ(キャベツへの嫌悪感を調節するため)が含まれるでしょう。その成果が処置や操作の結果であるかを明らかにするため、対照群の組み込みは必要不可欠です。

仮説の洗練

実験の結果が仮説を裏付ける場合は、その仮説を支持するためさらなる実験が設計され行われるでしょう。また、仮説は洗練され、より具体的にもなるでしょう。たとえば、追加の実験により、ナメクジは玉ねぎのような他のネギ属の植物にも嫌悪感を持っていることを決定づける可能性もあります。

結果が仮説を裏付けていない場合は、新しい観測に基づいて仮説を調整する必要があります。また実験的な設計の問題は、排除すべきです。例えば、もしナメクジが両方の種類の粉末物質に嫌悪感を示していれば、ニンニク粉末の代わりに新鮮なニンニクを使用して実験を再度行うことができます。ナメクジがやはりニンニクに対して嫌悪感を示さないならば、その仮説は調整されるでしょう。この例において、新しい仮説はナメクジが粉末に対して嫌悪感をもつことになります。

実験の結果は、データが元の仮説を裏付けているかどうかにかかわらず、他の科学者に伝え公にしなければなりません。この実験情報は、新しい仮説や実験的な疑問を設定する手引きとなりうるからです。