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5.10:

促進輸送

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Biology
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JoVE Core Biology
Facilitated Transport

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電荷イオンなどの物質が 膜の疎水性層によってはじかれて 拡散が停止する場合があります 促進輸送または促進拡散の過程において 分子は追加のエネルギーを必要とせずに 拡散を可能にするチャネルや キャリアタンパク質を介して 膜を横切って移動することができます 最初のタイプの チャンネルタンパク質は 親水性の孔を形成して 荷電分子が通過し 膜の疎水性層を回避します これらのチャネルは常に開いているか 流れを制御する 何らかのメカニズムで開閉します 二つ目のカテゴリーの キャリアタンパク質は 特定の物質に結合して チャンネルの立体構造変化を引き起こします 勾配下に移動できるようにするので 輸送速度は濃度勾配ではなく 利用可能なキャリアタンパク質の数に 依存しています 単純な拡散よりも 複雑であるにも関わらず 促進輸送は物凄い速度での 拡散を可能にし チャネルタンパク質は 毎秒数千万もの分子を移動します キャリアタンパク質は 毎秒千~百万もの分子を移動します

5.10:

促進輸送

細胞膜はその化学的・物理的特性により、選択的な透過性を持ちます。細胞膜には疎水性と親水性の領域があり、物質はその両方を通過する必要があります。膜の疎水性領域は、帯電イオンなどの物質をはじきます。そのため、そのような物質が膜をうまく通過するには、特別な膜タンパク質が必要です。促進拡散とも呼ばれる促進輸送の過程では、分子やイオンは、チャネルとキャリアーの2種類の膜輸送タンパク質を介して膜を通過します。これらの膜輸送タンパク質は、エネルギー供給を必要とせずに拡散が可能です。

チャネルタンパク質

チャネルタンパク質は、電荷を帯びた分子が通過する親水性の孔を形成し、これにより分子は膜の疎水性層を避けることができます。チャネルタンパク質は、物質の種類に特異的です。例えば、アクアポリンは、細胞膜を通る水の輸送を特異的に促進するチャネルタンパク質です。

チャネルタンパク質は、常に開いているか、何らかのメカニズムにより流れが制御されて閉じています。閉じたチャネルは、特定のイオンか物質がチャネルに結合するか、その他のメカニズムが起こるまで閉じたままです。ゲート型チャネルは、筋肉細胞や神経細胞などの細胞膜に存在します。筋収縮は、チャネルゲートの開閉が制御されることにより、膜内外で相対的なイオン濃度が変化する時に生じます。制御された障壁がなければ、筋肉の収縮は効率的に行えません。

キャリアタンパク質

キャリアタンパク質は、特定の物質と結合し、構造変化を引き起こします。構造変化により、物質が濃度勾配を下げる方向へ移動することができます。このため、輸送速度は濃度勾配に依存せず、キャリアタンパク質の数に依存します。タンパク質の水素結合が不安定になると形状が変化することは知られていますが、キャリアタンパク質が構造を変化させるメカニズムの全容は解明されていません。

拡散率

単純な拡散よりも複雑だが、促進輸送は信じられないような速さで拡散を起こすことが出来ます。チャネルタンパク質は1秒間に数千万個の分子を移動させることができ、キャリアタンパク質は1秒間に千から百万個の分子を移動させられます。

Suggested Reading

Isacoff, Ehud Y., Lily Y. Jan, and Daniel L. Minor. “Conduits of Life’s Spark: A Perspective on Ion Channel Research since the Birth of Neuron.” Neuron 80, no. 3 (October 30, 2013). [Source]