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8.7:

化学浸透

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Chemiosmosis

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化学浸透共役が機能している間 水素イオンは膜間腔に汲み上げられ プロトン勾配を生成します 次の過程は化学浸透と呼ばれ これらのイオンがミトコンドリアマトリックスに戻され ADPからATPを生成します イオンの動きを司る構造は ATPシンターゼ合成酵素で ミトコンドリアの膜間腔内に 埋め込まれています これには固定子が含まれ 水素イオンが合成酵素から 出入りするチャネルとなります そしてマルチユニットローターが回転し 水素イオンが結合し各サブユニットの 形を変えます その後回転しているローターが内部ロッドを起動させ 定常触媒タンパク質のノブを起動させ ADPをリン酸化します その結果、ATPが生成されます 異化作用が行われる過程全体で ATP合成によって2つのATPが生成され クエン酸回路によって2つ生成され 酸化的リン酸化の間に26〜28個生成されます

8.7:

化学浸透

概要

酸化的リン酸化は、生体細胞の多くのプロセスを駆動するエネルギーの基本単位、アデノシン三リン酸(ATP)を大量に生成する高効率な工程です。酸化的リン酸化には、電子輸送と化学浸透の2つの過程があります。電子輸送では、電子がミトコンドリアの内膜にある大きな複合体の間を移動し、プロトン(H+)が膜を通過して膜間腔に送り込まれ、電気化学的な勾配を生みます。次の段階では、プロトンが、内膜に埋め込まれたタンパク質複合体であるATP合成酵素を介して、勾配を下りミトコンドリアマトリックスに流入します。この過程は化学浸透と呼ばれ、プロトン勾配のエネルギーを利用して、アデノシン二リン酸(ADP)からATPを合成します。

電子伝達系

電子伝達系は、酸化還元反応と呼ばれる還元と酸化の反応を同時に行うことで、電子供与体から電子受容体へと電子を移動させる一連の複合体を指します。電子伝達系の最後では、電子が酸素分子を還元し、水を生成します。

電子が複合体の間を行き来するのは、プロトンの移動と連動しており、プロトン(H+イオン)は、ミトコンドリアのマトリックスから濃度勾配に逆らって膜間腔に移動しています。最終的に、膜間腔の高濃度のプロトンは、ATP合成酵素を介して濃度勾配を再び下り、ミトコンドリアマトリックスに戻され、ATPが生成されます。このように、膜間のプロトン勾配に蓄えられたエネルギーを利用して細胞を動かすプロセスを化学浸透といいます。

ATP合成酵素

ミトコンドリア内膜でプロトンの輸送を担う構造は、タンパク質複合体ATP合成酵素です。このATP合成酵素は、水素イオンが出入りする流路の固定子、膜内に埋め込まれた複数のユニットローター(F0)、ミトコンドリアマトリックスにある触媒タンパク質のノブ(F1)から構成されます。F0ローターは、水素イオンが各サブユニットに結合して形状を変化させることで回転します。この回転ローターが内部のロッドを回すことで、F1の構造が変化し、ADPや無機リン酸との結合が促進されて、ATPが生成されます。

ATP産生

好気呼吸の工程では、グルコース1分子の消費につき合計30か32個のATPを産生できます(図3)。解糖により4つのATPが産生され、そのうち二つが好気呼吸で消費されますが、正味2分子のATPが生成されます。一分子のATPはクエン酸回路一周につき産生され、クエン酸回路は一つのグルコース分子につき2回生じ、正味2つのATPが生成されます。最終的に、NADHとFADH2のどちらが電子キャリアに使用されるかによって、26個または28個のATP分子が酸化的リン酸化の電子伝達系で産生されます。

Suggested Reading

  1. Xu, Ting, Vijayakanth Pagadala, and David M. Mueller. "Understanding Structure, Function, and Mutations in the Mitochondrial ATP Synthase." Microbial Cell 2, no. 4 (March 24, 2015): 105–25. [Source]
  2. Turner, Nigel, Gregory J. Cooney, Edward W. Kraegen, and Clinton R. Bruce. "Fatty Acid Metabolism, Energy Expenditure and Insulin Resistance in Muscle." Journal of Endocrinology 220, no. 2 (February 1, 2014): T61–79. [Source]