19.8: 核融合
非常に軽い原子核がより重い原子核に変わる際には、質量を大量のエネルギーに変換する「核融合」というプロセスを伴う。太陽の主なエネルギー源は、4個の水素原子核が融合して、最終的に1個のヘリウム原子核と2個の陽電子を生成する核融合反応です。
ヘリウム原子核の質量は、4個の水素原子核の質量よりも0.7%小さく、この失われた質量は核融合の際にエネルギーに変換されます。この反応は、核融合の経路にもよるが、生成されるヘリウム-4の1"モル"あたり約1.7 × 109から2.6 × 109キロジュールのエネルギーを生み出す。これは、1"モル"のU-235の核分裂によって生成されるエネルギー(1.8 × 1010 kJ)よりもわずかに少ません。しかし、ヘリウム4の1"グラム"の核融合では、約 6.5 × 108 kJが得られ、これはU-235の1"グラム"の核分裂で得られるエネルギー(8.5 × 107 kJ)よりも大きいです。このことは、ヘリウム核融合の反応物質がU-235よりも安価で豊富に存在することから、特に注目されています。
水素の重い同位体である重水素と三重水素の原子核は、超高温で熱核融合を起こし、ヘリウム原子核と中性子を形成することがわかっています。この変化は0.0188amuの質量減少を伴い、形成されるヘリウム-4の1モル当たり1.69 × 109キロジュールの放出に相当します。非常に高い温度は、原子核の正電荷に起因する非常に強い反発力に打ち勝つだけの運動エネルギーを原子核に与え、それらを衝突させるために必要です。
有用な核融合反応を起こすためには、約1,500万 K以上という非常に高い温度が必要です。この温度では、すべての分子が解離して原子になり、その原子がイオン化してプラズマになります。このような状態は、宇宙の非常に多くの場所で発生しており、星の動力源は核融合です。
核融合炉の実現は、高温で安定な固体物質がないことや、核融合反応が起こるプラズマを機械的に封じ込めることができないことなどから、技術的に困難な課題となっています。現在、核融合反応に必要な密度と温度を兼ね備えたプラズマを封じ込める技術として、トカマク型原子炉における磁場による封じ込めと、集光レーザービームによる封じ込めの2つが研究されています。しかし、小規模な制御された核融合反応がごく短時間だけ行われたことはあっても、自立した核融合炉の稼働は未だ達成されていません。
上記の文章は以下から引用しました。 Openstax, Chemistry 2e, Section 21.4: Transmutation and Nuclear Energy.