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5.12:

二次能動輸送

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Biology
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Secondary Active Transport

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一次性および二次性能動輸送は いずれも細胞膜タンパクに依存していますが 二次性能動輸送はATPではなく イオンの電気化学的勾配で貯蔵されるエネルギーを使用して これらのタンパク質に電気を供給し グルコースなどの分子を勾配に逆らって細胞に移動します。二次性能動輸送のタンパク質の例のひとつに ナトリウム・グルコース共輸送体1があります。この共輸送体は最初 細胞質側が閉鎖した状態で位置しており 細胞外側は開いています。負の電荷を持つ2つのナトリウム結合部位が 正の電荷を持つナトリウムイオンと結合する環境にさらされています。細胞質よりも細胞外空間により多くのナトリウムイオンが存在し 細胞の内部がその環境よりも負になることから ナトリウムイオンと結合した輸送体は電気化学的勾配へと移動します。これによりエネルギーが放出されて タンパク質がコンフォメーションを変更し グルコースに対する親和性を高めます。細胞の外側は濃度が低くなり 細胞の内側は濃度が高くなります。グルコース分子が輸送体に結合すると ナトリウムと糖の結合が同時に起こり それによりタンパク質の細胞外側が閉まり 細胞質側が開きます。そこでナトリウムイオンが切り離され 細胞質へと移動します。これによりタンパク質のグルコースに対する親和性が低下し 糖が放出されます。糖はイオンと共に細胞内へと共輸送されますが 濃度勾配に逆らうことになります。プロセスが終わると輸送体は もとの状態に戻ります。

5.12:

二次能動輸送

細胞が電気化学的勾配に含まれるエネルギーを利用する一例として、グルコースの細胞内輸送が挙げられます。このプロセスに不可欠なイオンはナトリウム(Na+)で、通常、細胞内より細胞外に高い濃度で存在しています。このような濃度差は、一部が細胞内からNa+を放出する細胞膜に埋め込まれた酵素ポンプの働きによるものです。重要なことに、このポンプの働きにより、正に帯電した細胞外Na+の濃度が高くなるので、細胞内よりも正に帯電した環境が作られます。その結果、Na+の化学的・電気的勾配は両方、細胞の内側に向かい、電気化学的勾配も同様に内側に向かうことになります。

ナトリウム-グルコース共輸送体

ナトリウム-グルコース共輸送体(Sodium-glucose cotransporters: SGLT)は、この電気化学的勾配に蓄えられたエネルギーを利用します。これらのタンパク質は、主に腸や腎臓の細胞膜に存在し、これらの器官の管腔から血流内へグルコースを吸収するのを助けます。SGLTが機能するためには、細胞外のグルコース分子と2つのNa+の両方がSGLTに結合する必要があります。Na+がトランスポーターを介して細胞内に移動する際、Na+は電気化学的な勾配に沿って移動し、化学的勾配に逆らってグルコースを細胞内に移動させる(グルコースは細胞内で高濃度で存在する傾向にある)ためタンパク質が使用するエネルギーを放出します。その結果、グルコースは、電気化学的な勾配を下るNa+と同時に、その濃度勾配に逆らって移動します。これが二次能動輸送の一例であり、使用されるエネルギー源が一次的なATPではなく自然の電気化学的なものであることから、このような名前が付けられました。

SGLTを標的とした治療

ある種の病気にグルコースが関与していることから、科学者たちはグルコースの細胞内輸送に干渉する方法を検討し始めました。例えば、糖尿病は、血中のグルコースが過剰になるもので、神経障害など他の合併症を引き起こします。そのため、ある研究者はSGLTの発現が糖尿病患者と非糖尿病患者でどのように異なるか、また異なるSGLTを阻害することが病気の治療に役立つのかどうかを評価しています。また、がん細胞は正常な細胞に比べより多くのグルコースを必要とすることが明らかになったため、グルコーストランスポーターが抗がん剤治療の新たな標的になるかどうかを検討している研究者もいます。

Suggested Reading

Forrest, Lucy R., Reinhard Krämer, and Christine Ziegler. “The Structural Basis of Secondary Active Transport Mechanisms.” Biochimica Et Biophysica Acta 1807, no. 2 (February 2011): 167–88. [Source]

Diallinas, George. “Understanding Transporter Specificity and the Discrete Appearance of Channel-like Gating Domains in Transporters.” Frontiers in Pharmacology 5 (September 12, 2014). [Source]