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29.10:

減少する個体群の保全

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Conservation of Declining Populations

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個体数の減少が見られる 個体群を保全するには、減退の生態学的な原因に 焦点を当てる必要があります。そのようなアプローチによって 種の歴史を学び、減退の理由や 種が生き残るために 必要な条件を特定すれば、個体数に減少が見られるが まだ多くの個体数が残っている 個体群を保全することができます。アメリカのルリツグミは このようなアプローチによって 絶滅を免れた 成功例の一つです。ルリツグミは二次樹洞 営巣種の鳥です。つまり、ルリツグミは他の種の 動物が放棄した巣などの 天然の樹洞や 古いフェンスの支柱などの 人工の樹洞に依存しています。ルリツグミの個体数は 1950年代に減少が始まり、1960年代に減退レベルが 最高に達しました。この減退が起きた 背景には、殺虫剤、外来種の侵襲など、様々な要因があります。1950年代に 持ち込まれた イエスズメが ルリツグミから 巣穴を奪いました。さらに、厳しい冬、捕食者、在来種との競争などの 自然の圧力が状況を 悪化させました。1960年代に、ルリツグミ専用の 巣箱が道沿いに 設置されました。科学者とボランティアが 巣箱を監視し、競合種の侵襲を 排除しながら、巣箱の設定条件ごとに 繁殖の成功率を 評価しました。この作業により、競合する外来種の 侵襲を防ぎ、ルリツグミの営巣に 最も適した巣箱の条件を 特定しました。例えば、ムクドリによる 妨害を防ぐことができる 入口の最大直径は 3.8センチ メートルでした。このような保全努力により、多くの地域でルリツグミの 個体数が回復し、さらには増加しました。この成功例は、人間の活動が種の減退や 絶滅を引き起こす一方で、保全努力によって 個体数を回復させることが できることを示しています。

29.10:

減少する個体群の保全

減少する個体群の保全は、個体群の減少を検出し、診断し、それを食い止める方法に焦点を当てています。このアプローチでは、個体群が絶滅するのを防ぐ方法を用います。

保全活動では、科学的なアプローチを用いて、人口減少の原因となっている理由や要因を特定し、その要因を取り除く、反対する、中和するなどの方法をとります。

保存活動では、個体数減少の原因を特定するためにテストグループを導入することもあります。原因が確認されれば、残った個体群を影響のない地域に移すことになります。残った個体数が少なすぎる場合や、さらに減少する恐れがある場合は、保護されたストックを急速に繁殖させて放出し、個体数を増加させます。その後のモニタリングにより、個体群の再構築の成功を確認します。

この保護アプローチにより、オーストラリアの絶滅危惧種であるロード・ハウ・ウッドヘン(Lord Howe Woodhen)の個体数を回復させることに成功しました。この飛べない鳥は、オーストラリア沿岸のロード・ハウ島に生息する固有種です。この鳥の個体数は、島に人間が住み始めた頃から減少し始め、絶滅の危機に瀕していました。鳥類学者のベン・ミラー(Ben Miller)博士がこの状況を確認したときには、個体数は絶滅状態にまで達していました。

いくつかの仮説を検証し、否定した結果、鳥類の個体数減少の原因は野性の豚であることがわかりました。人間の入植とともに島に持ち込まれたこれらの豚は、抱卵中の鳥を殺して食べたり、巣や卵を破壊したりしていました。

ミラー氏の発見により、豚は駆除され、絶滅の危機に瀕した鳥を密閉された施設内で飼育するための繁殖プログラムが導入されました。飼育プログラムで生まれた子孫は、まとめて自然界に放たれ、注意深く観察されました。その後、放たれた鳥たちは繁殖を始め、個体数は安定し、島内の適切な生息地はすべて飽和状態になったのです。

Suggested Reading

Collen, Ben, Louise McRae, Stefanie Deinet, Adriana De Palma, Tharsila Carranza, Natalie Cooper, Jonathan Loh, and Jonathan E. M. Baillie. "Predicting How Populations Decline to Extinction." Philosophical Transactions of the Royal Society B 366, no. 1577 (2011): 2577-586. [Source]

Peery, M. Zachariah, Steven R. Beissinger, Scott H. Newman, Esther B. Burkett, and Tony D. Williams. "Applying the Declining Population Paradigm: Diagnosing Causes of Poor Reproduction in the Marbled Murrelet." Conservation Biology 18, no. 4 (2004): 1088-098. [Source]