分子や多原子イオンの中には 複数のルイス構造で 表現できるものもありますが どの構造が支配的なのかは どう判断すればよいでしょうか?原子の形式電荷を計算することで 分子の実際の構造に最も近い ルイス構造を 決定することができます これは 分子内の 他のすべての原子が 同じ電子陰性度を 持っていた場合の 原子の電荷です これは 各結合電子が 2つの原子で等しく 共有されていると 仮定しています 塩化水素を考えてみましょう 各原子の 形式電荷を求めるには まず 非結合電子の数を 結合電子の数の半分に加え 得られた値を価電子の数から 減算します 分子またはイオン中の すべての形式電荷の集合体は その分子またはイオンの 正味の電荷に等しくなります 例えば 亜酸化窒素は 3つの可能な ルイス構造で 表現することができます 2つの二重結合を持つものや 原子間の三重結合を持つもの 窒素と酸素の間の 三重結合を持つものなど すべてオクテットを 満たしています 最適なルイス構造は 正式な電荷計算によって 同定されます 窒素は5つの価電子を持ち 酸素は6つの 価電子を持っています 非結合電子の数と 結合電子の数の 半分の数に基づいて計算すると それぞれの構造の 正式な電荷が得られます 亜酸化窒素は 中性分子なので すべての形式電荷の和は ゼロである必要があります 一般的に 支配的な ルイス構造の個々の 原子の形式電荷は ゼロに最も近くなります したがって より高い形式電荷を 持つ第三の構造は 無視することができます さらに 負の形式電荷が 存在する場合は 最も電子陰性の原子によって 運ばれなければなりません 酸素は窒素よりも 電子陰性であるため 酸素に負の形式電荷を持つ 第二の構造が 亜酸化窒素の支配的な 構造であると特定されます 形式電荷とは 分子や原子の 実際の電荷ではなく 計算上の慣習です 分子の実際の電荷は 構成原子間の 電子陰性度の違いなど いくつかの要因に依存します