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26.10:

包括適応度

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包括適応度とは ある個体が自らの遺伝子を残せる度合いを表しています 自分の子孫を残す直接的な方法と 遺伝子を共有する近親者の繁殖を手助けする 間接的な方法があります 例えば、雌の働きバチは 繁殖をしませんが 食料を運ぶなど 女王バチの生存と繁殖を手助けするという 利他行動を取ります 働きバチは女王の近親者であり 大半がその娘です そのため働きバチの遺伝子は女王の子孫へ受け継がれていきます こうした近親者に対する利他行動は 血縁選択を通じて進化したと考えられており 近親者の繁殖率を高める 自然選択行動です 働きバチの場合、自らは繁殖しませんが 利他行動により 包括適応度が高くなっています

26.10:

包括適応度

自分を犠牲にして他の動物を助ける「利他行動」は、ほとんどが親族間で行われています。このような利他的行動が進化したのは、助けてくれる動物の包括的適応度を高めるためだと科学者は考えています。

包括適応度とは、個人が自分の遺伝子を受け継ぐことができる能力のことで、自分の子孫と、遺伝子を共有する近親者の子孫の両方に当てはまります。動物が近親者の繁殖成功を助けると、その動物の包括的適性が高まり、遺伝子プールに行動が保存されます。

真社会的な動物

例えば、ミツバチやハダカデバネズミのように、繁殖能力のあるメス(女王)が1匹だけいるコロニーで生活する真社会性動物は、他のコロニーのメンバーと密接な関係にあります。女王は、種類にもよりますが、コロニーの他のメンバーの母親、兄弟、あるいは叔母にあたります。生殖能力のないメンバーは、女王とその子孫の面倒を見て保護し、しばしば彼ら自身の生存を危険にさらします。女王が自分の遺伝子を受け継ぐのを助けることで、非生産的なメンバーは同じような遺伝子構造を持っているため、包括的な適性が向上します。

血縁選択

親族の繁殖成功率を高める行動を自然選択することを血縁選択といい、真社会性動物のように近縁ではない動物にも作用します。利他的行動が進化するかどうかは、親族関係の程度が影響するという説があります。これはHamilton’s ruleに代表されるように、利他行動のコストと利益を比較し、血縁度に比例して変化させるものです。言い換えれば、近縁の動物ほど互いに利他的な行動をとる可能性が高いということになりますが、これは遺伝子を多く共有することで包括的な適応度が高まるからです。

Suggested Reading

Galbraith, David A., Sarah D. Kocher, Tom Glenn, Istvan Albert, Greg J. Hunt, Joan E. Strassmann, David C. Queller, and Christina M. Grozinger. “Testing the Kinship Theory of Intragenomic Conflict in Honey Bees (Apis Mellifera).” Proceedings of the National Academy of Sciences, January 7, 2016, 201516636. [Source]