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31.1:

自然淘汰とは?

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What is Natural Selection?

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自然界の 最も注目すべき側面として 生物と環境との調和があります 例えば コヨーテには 容易に鳥を食べることができる 歯やその他の形質があります 反対に鳥は羽を使って コヨーテなどの 捕食者から逃げることができます 自然淘汰は生物と環境の間に見られる こうした調和を生み出す 進化の過程です 自然淘汰による進化または適応進化は 3つの条件が満たされる場合に生じます まず初めに こうしたカブトムシの色の違いなど それぞれ異なった形質が必要です これらの形質変異は 生物にとって良いか悪いかに関係なく起こる 偶然の遺伝的突然変異から生じます 2つ目に これらの形質の違いは遺伝性で 親から子孫に 受け継がれます 3つ目に形質のあるものは 生存と生殖の点で 利点をもたらす必要があります ここでは緑のカブトムシは黄色のものより 緑の芝生の上で カモフラージュされているので 黄色いカブトムシの方が多く 鳥に見つかって食べられてしまいます この利点により何世代にもわたり 緑のカブトムシが個体数で占める割合は ますます増加しています この場合 緑色が 緑の草が茂った環境に住む カブトムシがとげた適応ということになります

31.1:

自然淘汰とは?

自然淘汰とは、生存に有利な形質を持つ個体が、より高い確率で繁殖するという進化の過程です。このような有利な形質は、集団や種の中でより一般的になります。自然淘汰された形質は、最初はランダムな遺伝子の突然変異によって生じます。選択が行われるためには、集団内に変異があること、変異を支配する形質が遺伝可能であること、形質の変異に進化上の利点があることが必要です。

自然淘汰の理論

自然淘汰とは、環境に適応した個体が有利になる現象です。チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)は、1859年に出版した『種の起源』の中で、このプロセスを次のように説明しています。

“このような生命の奪い合いのために、どんなわずかな変化であれ、またどんな原因で起こったものであれ、他の有機生物や外部の自然との無限に複雑な関係の中で、種の個体にとって少しでも有益なものであれば、その個体の保存につながり、一般的にはその子孫に継承されます。なぜなら、あらゆる種の多くの個体が定期的に誕生する中で、生き残ることができるのはごく少数だからです。私は、人間の選択力との関係を示すために、有用であればそれぞれのわずかな変異が保存されるこの原理を、自然淘汰という言葉で呼んでいます。“

また、一般的に自然淘汰について言及する際に使われ、ダーウィンのものと誤解されることが多い「適者生存」という言葉は、ダーウィンと同時代のハーバート・スペンサー(Herbert Spencer)の造語であることにも注目したいです。ダーウィンは後にこの言葉を自分の作品に取り入れました。

ダーウィンは、自然淘汰による進化論を発表した当時、淘汰によって作用する遺伝形質が遺伝子であることを知りませんでした。その後、1865年にグレゴール・メンデルが『植物の交配実験』を発表し、世界に遺伝学が紹介されたのです。

自然淘汰の条件

自然淘汰が起こるためには、形質の変化が必要です。例えば、カンジキウサギは、春から夏にかけては茶色だが、冬になると毛色が白に変わます。また、その形質に進化上の利点があることも必要です。色が変わらず茶色のままのウサギは、雪の中で外敵に見つかりやすく、生き残りや繁殖が難しくなります。3つ目の条件は、その形質が遺伝することです。カンジキウサギの場合、自然淘汰が作用するのは、Agouti遺伝子の1カ所の変異です。

興味深いことに、気候変動による積雪期の変化が選択圧を変化させているという証拠があり、ノウサギの集団の中には、一年中茶色いコートを着ている個体に戻っているところもあります。このようなプロセスは、通常、集団内で何世代にもわたって起こるもので、適応進化と呼ばれています。

Suggested Reading

Lenski, Richard E. “What Is Adaptation by Natural Selection? Perspectives of an Experimental Microbiologist.” PLoS Genetics 13, no. 4 (April 20, 2017). [Source]

Zimova, Marketa, L. Scott Mills, Paul M. Lukacs, and Michael S. Mitchell. “Snowshoe Hares Display Limited Phenotypic Plasticity to Mismatch in Seasonal Camouflage.” Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 281, no. 1782 (May 7, 2014). [Source]