Back to chapter

34.12:

資源の短距離輸送

JoVE Core
Biology
A subscription to JoVE is required to view this content.  Sign in or start your free trial.
JoVE Core Biology
Short-distance Transport of Resources

Languages

Share

根から土壌から吸収した 栄養素と水は 植物全体の様々な 組織に分配されます。同様に、光合成の生産物も 貯蔵機能のある細胞まで 植物内を移動 しなければなりません。この移動はエネルギーを要する プロセスで、多くの細胞の細胞壁、細胞膜、そして細胞質を 通り抜ける必要があります。植物には溶質を輸送する 経路が3種類あります。アポプラスト経路を 経由した輸送は 細胞壁を含む、細胞外空間で行われ、シンプラスト経路を 経由した輸送は 隣接する細胞同士の 細胞質を直接 繋ぎ合わせている 原形質連絡を通して行われます。3つ目の経路、細胞横断経路は 細胞膜を通して 細胞に物質を 出し入れします。物質が細胞膜を通って 何度も移動する場合、2、3個の細胞であれば 十分に速く移動できますが、より長い距離を移動する場合は 大幅に遅くなります。植物細胞の細胞膜を 通した物質の輸送は、動物細胞と似ている 点があります。選択的透過性 を持つ細胞膜は、二酸化炭素や 酸素のガスなど、特定の物質を 濃度の高い場所から 低い場所へと 浸透させることで、受動的に 透過させます。その他の物質、イオンや糖などの 大きな分子は、その 荷電性やサイズから 細胞膜を透過できません。その代わり、細胞は イオンチャネル、輸送タンパク質などの 特別な膜タンパク質を使って これらの物質を能動的に輸送します。プロトンポンプはATPからの 化学エネルギーを使い、細胞膜を通して 水素イオンの 電気化学的勾配をつくります。植物の輸送器官の多くは この水素イオン勾配を利用して 資源を細胞内に取り込みます。例えば、根にある 硝酸トランスポーターは 1個の水素イオンで 1個の硝酸イオンを輸送します。この輸送は、硝酸イオンの 濃度勾配に関係なく行われます。

34.12:

資源の短距離輸送

短距離輸送とは、細胞膜を通過しながら、わずか2〜3個の細胞の距離を移動する輸送のことです。酸素、二酸化炭素、水などの電荷を持たない小さな分子は、それ自身で細胞膜を越えて拡散できます。一方、イオンや大きな分子は、その電荷や大きさのために輸送タンパク質の助けを必要とします。膜を越えた輸送は、個々の細胞内でも行われ、植物全体にとって不可欠なさまざまな役割を果たしています。

植物細胞の中心にある液胞に資源を出し入れします。

植物細胞の大きな中央液胞の役割の一つは、資源の貯蔵です。細胞の形質膜と同じように、液胞膜(tonoplast)にも能動的・受動的輸送タンパク質が存在し、細胞質と液胞の間の溶質の移動を制御しています。糖分は後のために蓄えられ、イオンは細胞質から隔離され、特にプロトンは液胞に送り込まれ、細胞内に入ってきた不要な物質や毒性のある物質を分解するための酸性の環境を作ります。

液胞膜を横切る動きが膨圧を制御します

液胞は貯蔵だけでなく、細胞膜を細胞壁に押し付ける力である膨圧を発生させ、植物の構造に貢献しています。液胞の大きさは、チャネルやトランスポーターによる液胞膜内の溶質の移動によって調節されます。水は液胞膜上で受動的に拡散し、膜上の溶質濃度の差を相殺します。また、細胞のシグナルに応じて開閉する水チャネルであるアクアポリンを介して、水はより速く移動することもできます。乾燥した環境下では、水が不足すると、液胞が収縮して個々の細胞内の膨圧が低下します。水分が不足すると、個々の細胞内で液胞が収縮して圧力が低下し、巨視的には植物がしおれたように見えます。

Suggested Reading

Brackmann, Klaus, and Thomas Greb. "Long-and short-distance signaling in the regulation of lateral plant growth." Physiologia plantarum 151, no. 2 (2014): 134-141. [Source]

Hedrich, Rainer. "Ion Channels in Plants." Physiological Reviews 92, no. 4 (October 1, 2012): 1777–1811. [Source]