多くの植物は、最適な 条件下で種子を 発芽させるため、季節の変化に 合わせて花を 咲かせます。植物はどのように時間や季節の 変化を感知しているのでしょうか?植物の中にある体内時計と 呼ばれるタイムキーパーが 光量の変化などの 環境の変化を感知しています。体内時計によって、植物は 概日リズムに従い、毎日 24時間の行動サイクルを 規則的に行うことができます。また、植物は体内時計を 使って季節の変化にも 応答しています。フィトクロムシステムは 植物が季節の 変化に応答する ためのメカニズムの 1つです。フィトクロムは感光性の 受容体です。フィトクロムが植物の中で 担っている様々な機能の 1つが季節の変化の感知です。フィトクロムは日照時間の長さ、または日長を計測して 季節の変化を感知しています。フィトクロムは 光刺激によって 2つの形状に 変形することで 日長に対する生体応答、光周性を制御しています。フィトクロムの形状には 不活性型のPrと 活性型のPfrがあります。フィトクロムは暗所で 細胞質の中に 不活性型のPrの 形状で生成されます。日中、Prは日光から 赤色光を吸収し、生物学的活性型のPfrに 素早く変形します。Pfrは細胞質分子を 活性化させるか、または細胞核の中に入って 遺伝子発現を制御します。暗所ではPfrが ゆっくりとPrに戻り、また、Pfrが酵素分解 されるため、夜の間は植物細胞内の Pfrの濃度が下がります。夜の時間が長くなる冬の 間は、夜明けまでに 細胞内のPfrが完全に 無くなる場合もあります。春になって夜の時間が 短くなると、夜明けの時点で残っている Pfrの量が多くなります。夜明けの時点における PrとPfrの割合によって、植物は昼夜のサイクルを 特定しています。Pfrの量は季節によって 変化するため、Pfrの濃度が高くなると 日照時間の長い季節に 花を咲かせる植物は 開花が活性化され、Pfrの濃度が低くなると 日照時間の短い季節に 開花する植物が活性化されます。フィトクロムシステムと 体内時計が 相互に作用し合うことで、植物は1年を通して 昼と夜の長さを 計測し、季節に合わせて 活動することが できるのです。