約40億年前、地球の初期の大気は 水蒸気と火山の噴火によって 排出されたガスで 構成されていました。地球が冷えるにつれ、水蒸気は凝縮して雨となり、地球に海ができました。地球上に最初の生物である 水生の単細胞生物が 誕生したのは 35憶年ほど前のことです。原核生物の一部が 二酸化炭素を固定して 糖類を作り始めました。これが光合成の始まりです。約20億年前、光合成を行う 単細胞生物が 湿った陸環境に 初めて生息するように なりました。光合成の副産物として 生じた酸素が、地球の大気を より多様性に富んだ 複雑な生物が住める環境に変えました。4~5憶年前の間に 地球の陸地では 植物、菌類、そして 動物などの多細胞生物が 繁栄しました。科学者たちは、このような 地球上の生物の歴史や 生活の記録を、化石記録の分析と 発展を続ける系統樹から 復元しています。化石は、骨や足跡などが 保存された、生物の 遺物、または痕跡です。化石記録とは、生命の歴史が 刻まれた、進化の証拠を 示す化石の コレクションです。系統樹は、生物間における 進化的関係を 説明する図表です。系統樹の枝分かれの パターンから、生物が 共通の祖先から進化していく 様子を見ることができます。化石記録と系統樹の 2つを合わせることで、進化の歴史を 再建するための 効果的なツールとなります。例えば、クジラと魚は どちらも水生の動物で、泳ぐために必要な ヒレと尾を持っているため、密接な進化的関係が あるように見えるかもしれません。しかし実際は、解剖学的比較から 現代のクジラは人間やその他の 哺乳動物と類似した構造、例えば、共通した前肢など を持つことが分かっています。さらに、系統樹の 解析からは クジラが実は魚よりも 人間と近い共通祖先を 持つことが示唆されています。科学者たちによって、現代のクジラが四足類、4本の脚を持つ動物から 進化し、陸生から 水生に移行したことを示す 証拠が見つかっています。クジラと魚の類似した 身体のつくりは、それぞれが 独立して進化したもので、収斂進化と呼びます。進化史は、地球上の 生物の誕生から 現在までの進化の 過程を説明し、理解することを目的としています。化石記録と系統樹は、科学者たちが 地球上の生物の 記録を復元するための ツールとして 活用されています。