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36.1:

植物ホルモン

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Plant Hormones

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植物ホルモンは シグナリング分子であり、植物の一部で 少量が生産され、他の部位へと 輸送されます。植物ホルモンは植物の 成長と発達に関わる 特定の反応を引き起こします。主な植物ホルモンには オーキシンとサイトカイニン と呼ばれる2種類の 化学族があります。オーキシンは、茎の伸長と 根の発生を促進します。オーキシンは、ダーウィンによって 屈光性-植物が日光に向かう、または日光を避ける動き-に関与するホルモンとして 広く知られるようになりました。例えば、ヒマワリは 太陽の動きを追いながら 日光に反応します。日光に反応すると、植物の陰となる部分に オーキシンが蓄積します。この仕組みによって 細胞が伸長し、植物は光の方向に曲がります。サイトカイニンは植物 細胞の分裂を促進する もう一つの植物ホルモンです。サイトカイニンは オーキシンと合わせて 植物の形態形成を調節し、葉、シュート、根など、植物の様々な構造の 形成を制御します。もう一つの重要な植物 ホルモンは気体性の 植物ホルモン、エチレンです。エチレンは植物の 落葉や果実の 脱離を調節し、果実を成熟させます。エチレンには細胞壁を 酵素分解する 効果があり、その 作用によって 果実が柔らかくなって 糖度が増し、果実の色が 変化します。多くの植物ホルモンは 農業でも 活用されています。例えば、栄養繁殖で 根を発生させる場合は、オーキシンが使用 されています。多くの果物は未熟な 状態で収穫され、収穫地から遠く離れた 場所に輸送されます。輸送後は、エチレンを使って 果物を急速に 成熟させています。

36.1:

植物ホルモン

植物ホルモンは、植物の生理学的プロセスを調節する化学分子です。動物の場合、ホルモンは多くの場合、特定の腺で作られ、循環系を通って運ばれます。しかし、植物にはホルモン分泌腺がありません。

植物ホルモンは、根や芽の先端など、成長の盛んな部分で作られることが多いです。また、植物ホルモンは非常に低濃度であっても、成長・発達過程に大きな影響を与えます。例えば、オーキシンは主に芽の先端で生産され、茎の中を細胞から細胞へと運ばれます。オーキシンは、細胞の伸長、果実の成長、光を当てたり避けたりする光屈性など、さまざまな植物の反応に関与しています。

古典的な植物ホルモンには、オーキシン、ジベレリン(GA)、アブシジン酸(ABA)、サイトカイニン(CK)、エチレン(ET)などがあります。また、最近発見されたホルモンには、ジャスモン酸(JA)、ブラシノステロイド(BR)、ペプチドなどがあります。これらの化学物質は、根や茎の発達、開花、果実の成熟、植物の形態形成などの重要なプロセスにつながる重要なシグナルを伝達します。

例えば、オーキシンやサイトカイニンは、植物の細胞の分裂、伸長、分化を促進します。エチレンは、植物の唯一のガス状ホルモンであり、果実の成熟や葉などの脱落を促します。これらのホルモンの多くは、標準的な農業慣行で広く使用されており、作物の繁殖や収穫に欠かせないものとなっています。例えば、保存性を高めるために、果物を未熟な状態で収穫し、その後エチレンで処理して熟成を促すことがよく行われています。

Suggested Reading

Asami, T. & Nakagawa, Y. Preface to the Special Issue: Brief review of plant hormones and their utilization in agriculture. J. Pestic. Sci. 43, 154–158 (2018). [Source]

Denancé, N., Sánchez-Vallet, A., Goffner, D. & Molina, A. Disease resistance or growth: the role of plant hormones in balancing immune responses and fitness costs. Front. Plant Sci. 4, 155 (2013).[Source]