プラスミドの精製

Basic Methods in Cellular and Molecular Biology
 

Summary

プラスミドの精製はゲノムDNA、タンパク質、リボソーム、バクテリアの細胞壁を取り除き、プラスミドDNAを単離する手法です。プラスミドは小さい環状の二本鎖DNAであり、特異的DNA分子の担体として利用されます。形質転換により宿主生物に導入されたプラスミドは複製されて多数のDNA断片コピーを得ることができ、研究に広く利用されています。

このビデオでは、プラスミド精製の一般的な手技を紹介しています。プラスミドを精製するための3つの基本ステップ: バクテリアの培養による増殖、バクテリアの回収と溶解、そしてプラスミドDNAの精製、があります。このビデオでは、プラスミドがどのような過程を経て精製されていくのかを各工程を追いながら説明し、また分光器やゲル電気泳動を用いたプラスミドDNAの質と量の分析方法を紹介しています。そして目的の量、プラスミドのコピー数、バクテリアの培養液量に応じた様々なプラスミドの精製方法も紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. 細胞生物学・分子生物学の実験法の基礎. プラスミドの精製. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

プラスミドとは環状の過剰染色体DNA分子であり、分子生物学では特異的なDNA断片の担体もしくはベクターとして利用されます。バクテリアはプラスミド複製のために利用され、目的のDNAを大量生産できます。バクテリアからプラスミドを回収する手法をプラスミドの精製と呼び、これからこの手法について説明していきます。

プラスミドの精製とはプラスミドを純正化することですが、実際にはどうすることなのでしょうか?これはプラスミドをバクテリアの染色体、タンパク質、バクテリアの膜成分やリボソームから単離することをいいます。

プラスミドを精製するためのキットはたくさんありますが、その基本原理はすべて同じです。まず、選別したバクテリアのコロニーを適切な抗生物質を加えた培養液で育てます。抗生物質耐性遺伝子がプラスミドによってコードされ、プラスミドを含有するバクテリアのみが増殖します。バクテリアを回収し、高PHで溶解させます。中和された溶液に塩を加え、混合物を遠心し、デブリとゲノムDNAを除去します。

中和された細胞溶解物をシリカカラムに加えます。プラスミドDNAは陰イオン交換によりカラムに吸着します。強力な陰イオンをもつ DNAは、陽イオン性の塩橋を介して負電荷をもつカラムに結合します。タンパク質など他の溶解物は高塩濃度バッファーによってカラムから除去されます。そして、低塩濃度バッファーを加えることで塩橋が破綻し、精製されたプラスミドがカラムから溶出します。

以下の手順を踏む際には必ず、白衣、使い捨て手袋、防護メガネを着用してください。

目的のプラスミドDNAで形質転換したバクテリアは、適切な抗生物質を加えた増殖培地を用いて、37°C、オーバーナイトでシェーカーを使って培養します。

その翌日、バクテリアの培地を遠心にかけペレット状にし、上澄みを取り除きます。残りのペレットをバッファーで再懸濁します。

再懸濁後、ライシスバッファーを加えた小さなチューブにバクテリアを移します。ライシスバッファーは高PHでSDSなどの界面活性剤を含んでおり、バクテリアの膜を壊し、バクテリアを溶解します。ライシスバッファーを添加すると溶液は濁りますが、混和すると徐々に透明になっていきます。このときボルテックスの使用は避けてください。ゲノムDNAが切断され混入し、プラスミドDNAの純度が悪くなる可能性があるためです。

次に、アルカリ状態を中和しPHを下げるためにニュートラライゼーションバッファーを加えます。優しく混和するとゲノムDNAとその結合タンパク質は沈殿し、プラスミドDNAは溶液中に残ります。このときもボルテックスは避け、ゲノムDNAが混入しないように気をつけてください。

次にその混合物を遠心にかけ、ゲノムDNAとタンパク質の沈殿物をペレット状にします。上澄みにはプラスミドDNAと可溶性タンパク質が含まれています。

この上澄みを優しくカラムに注ぎます。残ったペレットは廃棄してください。

次に、高塩濃度バッファーでカラムを洗浄します。このときDNAはシリカに結合したままです。この洗浄ステップを繰り返し、エンドヌクレアーゼ、RNA、タンパク質、染色液、低分子量の不純物を除去します。このとき通過させた液体は廃棄します。洗浄が終わったら、フィルターにバッファーが残っていないことを確認し完全に乾燥させます。プラスミドDNAはこのフィルターに結合しています。

そのプラスミドDNAを滅菌水又はバッファーで溶出させます。精製したDNAはすぐに様々な実験に利用できます。

精製したプラスミドはいろいろな方法で確認できます。分光器を使って異なる波長での吸光度を比較し、プラスミドDNA濃度を決定できます。また、アガロースゲル解析を用いて、精製したプラスミドが適当なサイズをもち不純物の混入がないか確認できます。これにより、ゲノムDNAの混入やバクテリア内での修飾がないことが保証されます。

プラスミドの大きさ、コピー数、培養液量に合わせて、プラスミドの精製工程に変更を加え、また、結合、洗浄、溶出に使用する器具を選びます。

プラスミドを精製する際にはその量が大切な鍵となります。目的の量に合わせて、少量調製又はミニプレップ、ミディプレップ、マキシプレップ、そしてメガプレップを使い分けます。

精製したプラスミドを利用する一般的な手法の一つはトランスフェクションです。これはプラスミドDNAを真核細胞に導入する手法です。トランスフェクションを行う目的は、主に細胞や組織構造のレポータータンパク質による視覚化です。このようにニューロンにもラベリングができます。

時に、複数の精製法で得た複数の精製プラスミドを同じバクテリアに導入することもあります。この手法によりプラスミドにコードされた複数の酵素生成を介して生合成経路を再現できます。その結果、細胞から抗生物質のような複合化合物を作り出すことが可能となります。

一度精製したプラスミドは、コードされたタンパク質を大量生産するためにバクテリアに導入することができます。ここでは、バクテリア細胞をホモジナイズして溶解し、アフィニティー精製を行っています。これにより、目的のタンパク質を単離できます。精製したプラスミドを結晶化し、その後構造解析もできます。

ここまでJoVEプラスミドの精製編をご覧いただきました。このビデオでは、この手法の基本原理、各工程、精製したプラスミドの利用方法を紹介しました。ご覧いただきありがとうございました。

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