fMRI:機能的磁気共鳴画像法

Neuroscience

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Summary

機能的磁気共鳴画像法(fMRI)は、非侵襲的なニューロイメージングテクニックであり、正常及び病態時の脳機能を研究するための素晴らしいツールです。課題遂行時の神経活動に伴う血流の変化をMR信号として計測することができます。血液中に含まれるヘモグロビンは、酸素と結合しているか否かにより磁性が変化します。その性質を利用しMRIスキャナーのパラメータを利用して、神経活動に伴って増加する酸素結合型のヘモグロビンの流入を検出します。この現象はBOLD(Blood Oxygen Level Dependent)効果と呼ばれ、脳活動マップの作製に重要な役割を果たします。

このビデオでは、最初にMRIとfMRIの信号の取得についての概要を説明し、次に基本的な実験デザインを紹介しています。ここでは、脳機能をテストするための刺激提示パタンについて解説しています。それから、fMRI測定法や被験者の安全性の確保について、またスキャナーのセットアップ法を学ぶことができます。さらに、一般的なデータ処理方法や一般線形モデルに基づく統計解析についても説明しています。最後に、精神疾患の研究やfMRIとその他の優れた画像診断技術を組み合わせた拡散テンソル画像(DTI)解析などのfMRIのアプリケーションを紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. 神経科学のエッセンシャル. fMRI:機能的磁気共鳴画像法. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

機能的磁気共鳴画像法又はfMRIは、ヒトの脳および認知機能の研究に広く利用されるニューロイメージング法です。fMRIを利用すると正常な脳に加え異常あるいは病変をもつ脳の機能を検査することができます。

強力な磁石を使って脳活動に連動する血流の変化を検出し脳活動マップを作製していきます。このイメージングテクニックは優れた空間分解能および時間分解能をもち、インジェクションの必要性や電離放射線への暴露の心配もない非侵襲的画像診断法です。

このビデオではfMRI信号の取得法、基本的な実験デザイン、fMRIの測定、そしてデータ解析方法について解説していきます。

最初に磁気共鳴画像法のしくみを簡単に説明しておきます。MRI装置又はスキャナーは超高磁場装置であり、1.5〜3テスラ(T)の磁場を発生させ体内組織の磁気特性を利用し画像化していきます。

人体に存在する水分子の一部である水素原子核は、通常ランダムな方向に回転しています。それが磁場の中に入ると同じ方向に揃い始めます。装置内で特定の周波数をもつ電磁波を検査部位に暴露し、原子核が回転する角度が調整され状態が変移することにより発生する信号をスキャナーで読み取り画像を作製していきます。

機能的MRIは、酸素と結合しているか、していないかによって変化する血中ヘモグロビンの磁性の変化を利用します。脱酸素化状態では常磁性体となるため、微小な不均一性の磁場が発生し、局所的に磁場が歪むことでその周辺組織の磁気共鳴信号が減少します。

この現象を利用してニューロン活性に対する血流量の変化に基づき脳活動を画像化できるのです。神経活動に伴い、脳代謝が亢進し局所的に血流が増加することでその領域の脱酸素化ヘモグロビンが減少します。

その結果、活性ニューロン周辺では磁場の均一化が起こり信号の増加が認められます。この信号はBOLD(Blood Oxygenated Level Dependent)信号と呼ばれます。

MRI信号のプロットは血行動態反応関数と呼ばれ、このようにニューロンが活性化されると信号の増強が見られます。

スキャナーはシークエンスを使用して血液の酸素化の違いを検出し画像化していく装置です。BOLD効果による信号を検出するために数秒毎に脳全体を撮像していきます。

多くの科学的実験がそうであるようにfMRIもまた仮説を立証する過程で開発されました。提示する刺激パタン又はパラダイムは目的の脳領域の検査に適している必要があります。例えば比較的長い時間刺激を提示するブロックパラダイムや、より複雑となる事象関連デザインがあります。この事象関連デザインでは、適当な時間間隔で瞬間的に刺激が提示されます。

さらにBOLD信号を検出するためのMRIシーケンスを利用し、最適な撮像パラメータを選択することも重要です。

被験者の協力を得て実験を実施するには、施設内倫理審査委員会の承認が不可欠となり、その後条件に基づき被験者が募集されます。

撮像開始前には被験者の安全性を必ず確保しなければなりません。心臓ペースメーカーが埋め込まれた方のMRI検査は原則禁忌です。また文書によるインフォームードコンセントを得ることが必須となります。そして身のまわりの金属類が全て外されていることを撮像前に必ず確認します。

次に実験の本質と課題についてしっかりと確認を行います。これは明確な結果を得るための鍵となります。

撮影室では被験者に聴覚保護具を装着してもらい、その後に頭の動きを抑制するためのパッドつきのヘッドコイルを設置します。刺激提示のための装置もセットします。視覚的な刺激提示には通常メガネやプロジェクターが使用されます。

被験者の準備が整ったら、ベッドを装置内へと移動させていきます。そして高分解能化を可能とするシークエンスのセットアップを行い、スキャンに再登録していきます。

課題遂行手順に従い、タスクパラダイムの始まりに合わせて画像を収集していきます。

BOLD法による測定を正確に行うためには、タスクのタイミングと画像取得のタイミングを正確に合わせる必要があります。

撮像中は被験者をモニターし必要に応じて課題を追加して下さい。そして被験者を撮影室から退室させ実験を終了します。

実験に応じて画像処理方法や使用するソフトウェアを選択します。このビデオでは、BOLD法を用いた測定法を紹介していきます。

統計解析を行う前処理として画像中のアーチファクトを除去します。ここではslice時間補正や動作補正、また画像の位置合わせ(co-registration)が行われます。

グループスタディでは、被験者の画像データを標準脳座標上に変換し標準化することで被験者間での比較が可能となります。

データが揃ったら統計解析を行い、刺激又は課題遂行時の認知機能に相関する脳の活動領域を同定していきます。

通常、課題を用いる実験では一般線形モデルに基づき解析が行われます。BOLD信号に対する血行動態反応関数を予測し、刺激に対する反応を畳み込み積分で算出します。

最後に、統計的な閾値を選択し結果を考察します。通常、3次元デジタル画像の構成単位の「ボクセル」と呼ばれる要素を使って統計的に色分けされたパラメトリックマップとして表示されます。必要に応じてさらなる解析を行って下さい。

ここまで、fMRI実験のデザイン、実施、そして解析法を紹介してきました。ここからはアプリケーション例を見ていきます。fMRIは正常な脳の機能や認知について研究するためのツールとなります。例えば、運動、視覚、言語処理などは基本的な機能ですが、多くの認知過程についてはまだ謎が多く残されており、現在も研究が進められています。

脳の病態や精神疾患の研究にもfMRIが活躍しています。不安障害や心的外傷後ストレス障害、また自閉症や認知症などの研究に盛んに利用されています。

また、fMRIとそのほかのMR技術やイメージング技術が組み合わさった、拡散テンソル画像や脳波記録法(EEG)、また経頭蓋磁気刺激法(TMS)なども脳機能の研究に利用されています。

さらに現在、独立成分分析や相互相関分析手法を用いた安静時fMRIによる機能的結合の解明も試みられています。

ここまで機能的MRIについてご覧いただきました。このビデオでは、fMRI信号の取得と基本の実験デザイン、fMRIの測定やBOLD法によるデータ解析、アプリケーション例を紹介しました。

fMRIはヒトの脳機能や認知についてあらゆる方面から研究するための素晴らしい非侵襲性技術です。

ご覧いただきありがとうございました。MRI実験は安全第一で実行しましょう。

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