ニワトリ胚のex ovo 培養

Biology II

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Summary

モデル生物としてのニワトリ(Gallus gallus domesticus)の強みは、胚が母鶏の体外で発生するため、容易に実験操作を加えることが可能なことです。多くのテクニックにより殻の中(in ovo)のニワトリ胚の研究が可能となりますが、発生後期の胚へのアクセスは難しくなります。しかし、ニワトリ胚はex ovoつまり殻の外でも培養可能なのです。ex ovo培養法の大きな利点は、殻や卵内の胚の配置に邪魔されることなく組織にアクセスできることです。特に発生後期の胚を利用したいときに役に立ちます。

ex ovo培養法には、全卵黄培養と外植体培養の2通りのやり方があります。全卵黄培養は、殻を壊し卵の内容物を容器に移して培養する方法です。一方、外植体培養は、卵黄から胚を切り出し、膜の張力を保つためにマウントして培養します。膜の張力を維持することが正常に発生させるための鍵となります。

このビデオでは、全卵黄培養と外植体培養の基本プロトコルや培養のノウハウを解説しています。さらに、ex ovo培養法の実験へのアプリケーション例や後期発生胚の顕微鏡法や遺伝子操作への応用方法を紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. モデル生物II: マウス、ゼブラフィッシュ、ニワトリ. ニワトリ胚のex ovo 培養. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

ニワトリは、ほとんどの発生が母鶏の体外で進むため、発生メカニズムの研究に広く用いられるモデル生物です。そうとはいっても、ある実験系では卵の殻が胚へのアクセスの妨げとなります。しかし幸いにもある実験用具を使えばニワトリは殻の外つまり”ex ovo”でも培養が可能なのです。このビデオでは、ex ovo培養の基本原理、2種類のメソッドの各工程、このテクニックを利用した発生研究のアプリケーション例を紹介していきます。

まずは、ex ovo培養の基本テクニックを学んでいきましょう。

ニワトリ胚は、卵黄膜と密接に関わりながら発生していきます。卵の中には卵黄の他にもアルブミンつまり卵白があり、胚を保護しタンパク質の供給源となっています。卵の中身全てを容器に移して行う全卵黄培養により殻の外での培養が可能となります。あるいは、胚組織を切り出し外植体培養を行うこともできます。このどちらの手法も殻に穴を開けるウィンドウ法を用いることに比べ明白な利点を持ち合わせています。

発生後期の胚は、膜に血管が張り巡らされているためウィンドウ法を用いることが困難になります。そのためこの時期には、ex ovo培養法が好まれます。

また、そのままイメージング台にセットできるため、ex ovo培養は高分解能イメージングに適しています。さらに、殻を取り除いた胚は、顕微鏡手術やマイクロインジェクション法のような多くの実験操作にも有用です。

通常ニワトリ胚は殻に保護され、殻から必須ミネラルを受け取りながら成長するため、殻の外での培養は特別なケアが求められます。例えば、無菌かつ湿度のある環境での培養やアルブミン又は培養液による栄養補給が必須となります。培養が長期に及ぶ場合にはカルシウム源として砕いた卵の殻も必要です。また、正常な胚発生には、胚を支えるための膜の張力がとても重要となるため、正常な膜形態を維持して培養することがex ovo培養成功の鍵となります。

基本を学んだところで、実際に培養方法を見ていきましょう。全卵黄培養を行うには、目的の発生ステージ直前まで37.5℃でインキュベートすることから始めます。

その間に培養設備を整えておきましょう。通常ペトリ皿、秤量皿、ハンモックを使用し卵の内容物を保持します。最初にUVライト又はエタノールで全ての道具を滅菌しておきます。そして、培養中の湿度を維持するために滅菌水を満たした容器を準備します。

卵の準備が整ったら、数分間卵を水平に置き、胚が上側に来るようにします。その後、卵の底部分にヒビを入れ、内容物を容器に移します。そして最後に湿度を保つために容器にカバーをしてからインキュベーターに戻し、目的の発生段階に達したら実験を開始します。

次のex ovo培養法は、外植体培養です。殻から胚を取り出した後、さらに数ステップが加わります。

この方法では、発生胚がくっついた卵黄膜を卵黄から優しく剥がす操作が必要になります。そしてその膜をマウントし、膜の張力を維持します。そのためには、ガラスリング上にピント張らせるか、単にフィルターペーパーにくっつけても大丈夫です。

マウント後は培養液を加え、それらを容器にセットし、容器を水で満たします。外植した胚はインキュベーターに戻し、さらに24時間まで培養可能です。

ここまでex ovo培養の原理を学んできました。ここからはアプリケーション例を見ていきます。

発生の進んだ胚の遺伝子発現を変化させたいときに ex ovo培養が活躍します。その方法のひとつが、電流を利用して遺伝子を導入するエレクトロポレーション法です。ex ovo培養された胚はイメージングに大変適しているため、胚全体を蛍光イメージングすることで遺伝物質の取り込みを効率的に実施できます。

細胞ダイナミクスのリアルタイムイメージング解析にもex ovo培養が利用されます。ヒトがん細胞はニワトリ胚の漿尿膜又はCAMの血管に定着し腫瘍を形成します。

腫瘍が形成された後に蛍光粒子を直接血流に注入し、リアルタイムでの追跡が可能です。腫瘍組織内に蓄積した蛍光粒子が血管形成又は血管新生の指標となります。

外植テクニックを用いることで全胚培養を行えますが、実験によっては培養前に胚組織を切り出した方が良い例があります。例えば、発生中の神経組織の場合、切り取ってカバーガラス上で成長させることができます。その後神経堤と呼ばれる特殊な細胞集団が組織から離れて移動していく様子が観察できます。実験用薬剤を処置後にタイムラプスイメージングを行い細胞移動の制御因子を特定できます。

ここまで、ex ovo培養についてご覧いただきました。このビデオでは、ex ovo培養法の原理、全卵黄培養と 外植体培養の基本メソッド、そして今日の研究への応用例を紹介しました。ご覧いただきありがとうございました。

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