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Biology I: yeast, Drosophila and C. elegans

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C. elegansの基礎研究のためのメンテナンスについて
 
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C. elegansの基礎研究のためのメンテナンスについて

Overview

Ceanorhabditis elegansは、発生学、遺伝学、分子生物学、更には物理現象に及ぶ様々な研究分野に今なお貢献し続けるモデル生物です。C. elegansを最大限に活用するためには、基本的なメンテナンスを丁寧に行うことが重要となります。

このビデオでは、C. elegansの基本的な飼育、摂食法の他、線虫ピックの適切な使用方法、冷凍保存と凍結溶解方法についても説明しています。ビデオの後半では、この重要なモデル生物の飼育、摂食、操作法を応用した実験例をいくつか紹介しています。

Procedure

シノラブダイティスエレガンスの正しいケアとメンテナンスが研究成功の鍵となります。

C.エレガンスは、少しのスペースで安価に飼育でき、繁殖力が高く、操作が簡便です。 扱いやすいからといって研究するのに劣るわけではありません。 事実 、C.エレガンスを科学への自然の賜物であると Sydney Brennerは提唱し、1974年の導入以来、線虫は幾多のノーベル賞受賞研究に利用されています。

これから、実験のための 重要なメンテナンス方法 である、飼育と摂食、ハンドリング、そして冷凍保存、凍結溶解法を見ていきます。

自然界のC.エレガンスは、土壌に生育し細菌類を食べます。 実験のためには、特殊な方法でできる限り良い条件で飼育することが大切です。

実験に合わせて16度、20度あるいは25度の条件下、土または液体培地で培養します。 どの条件でも、線虫の実験に広く用いられる大腸菌OP50を餌に使用します。

C.エレガンスを25℃で飼育する場合、16℃の時よりも2.1倍の速度で生活環を完了します。 生活環が短いと、線虫が早く成長し、卵を多く産み、よりたくさんの餌を消費します。 もし線虫がお腹をすかせたり、数が増えすぎたりすると、耐性幼虫期に突入します。 耐性幼虫はストレス耐性で、年も 取りません。

C.エレガンスの固体培地での培養には、NGMプレートを用います。 培地作成前日に大腸菌OP50のシングルコロニーをLB培地に植菌します。 37℃で一晩シェーカーを使って培養します。 正確に次の材料を測りとり、脱イオン水と混ぜ合わせ、三角フラスコを使って固体培地を作製します。 少なくとも15分高圧蒸気滅菌を行った後、55℃まで水浴で冷却します。 55℃になると、容器を素手で無理なくつかむことが出来ます。 この時、適切な無菌法を用いて、薬や抗生物質のような添加剤を加えることができます。 回転させ混合します。 その後、溶融したNGMをペトリ皿の3分の2の高さまで注入します。 そして一晩乾燥させます。

翌日、10分間、3500xgの遠心分離によりペレットを回収し、その後再懸濁させます。 そして各プレートの中心に菌叢(きんそう)を乗せます。 NGMの表面にチップが触れないように、又そのカルチャーがプレートの壁に当たらないように注意します。 一晩乾燥させます。 乾いたら、プレートを紫外線で殺菌します。 これで線虫培養の準備が整いました。

C.エレガンスは、線虫ピックを使って一つ一つ扱っていきます。 研究者の好みにもよりますが、通常ピックには30ゲージ、90%プラチナ、10%イリジウム含有のワイヤーを用います。 ピック作製には、まずパスツールピペットの先を折り、適切な長さにします。 ワイヤーを3、4cmカットし、そのうち0.5cmをピペットの先端内部に設置します。 ブンゼンバーナーでワイヤーをガラスにくっつけます。 ワイヤーがガラスから突き出る部分が約3から3.5cmになるようにします。 これも個人の好みにで調整してください。 ハードエッジを使ってワイヤーの先端を平らにします。 そしてその部分を上に曲げスクープ状にします。 最後に、線虫や寒天を傷つけないようにピックの先端にやすりをかけます。 ガスバーナーで滅菌後、NGMプレートからどろりとした大腸菌OP50を取ります。(K) 寒天の表面を刺したりひっかいたりしないよう十分注意してください。(L) 解剖顕微鏡を覗きながら、線虫を優しくすくって、平らでベトベトのピックにくっつけます。(M) 線虫がピックにくっついたら、直ちに先端を新しい培地の表面に移し、菌叢(きんそう)上をスライドさせます。(N) 線虫がピックから離れるはずです。(O) このとき時間をかけないようにして下さい。(P) さもないと、線虫が干上がってしまいます。(Q)

C.エレガンスが研究によく使用される理由の一つは、カルチャーを問題なく長期間保存できることです。 まず、お腹をすかせた若い幼虫をM9バッファー0.5mlで洗い、回しながらすべての幼虫と成虫をほぐします。 そして微量遠心管又はクライオチューブに移します。 その後、M9バッファーに等量の30%グリセロールを加えます。 最後に、遮蔽ボックスにバイアルを入れ、-80℃で保存します。 凍結溶解する際は、冷凍庫からチューブを取り出し、中身が完全に溶けるまで室温で放置します。 新鮮なOP50含有NGMプレートにその溶液を注入します。 2、3日後、10から15匹の成虫を新鮮なプレートに移動させると、次の世代が誕生してきます。 それら子孫を収集し、表現型を確認します。

C.エレガンスのメンテナンス方法を学んだところで、次は摂食、飼育、ハンドリングの適正コンディションでの研究応用例を見ていきましょう。

ノーベル賞受賞研究であるRNA干渉により、C.エレガンスのどの遺伝子発現も抑制でき、機能を洞察可能です。 RNAi実験を行うにあたり、まずは標的遺伝子の二本差RNAを発現させた大腸菌プレートを準備し、線虫に摂食させます。 それから4齢幼虫をRNAiプレートに移し、産卵させます。 目的の発生段階で子孫を収集し、表現型を評価します。 ヒトと線虫の遺伝子の約半分は共通しており、ヒト疾患の研究に応用出来ます。

線虫の生活環は短いため、老化のモデルにも適しています。 まず、NGMプレート上で雌雄同体に産卵させ、同齢の線虫を発生させます。 6から8時間産卵させ続け、その後取り出します。 目的の段階に達したら、新たなNGMプレートに移動させます。 このプレートには、コンタミネーション防止のためにアンピシリン、生殖防止のためにフロクスウリジンが含まれています。 これ以降は、すべての線虫が死ぬまでの間、2、3日おきに成虫が観察できます。 死んでしまった線虫はプレートから取り除き、生きているものも含め数を記録します。 遺伝子背景や環境因子による生存期間を解析することで、老化のプロセス解明が可能となります。

Using lasers it is possible to perform axotomies or the cutting of individual axons, in live C. elegans to study how nerve cells regenerate.

レーザーを用いた軸索切断により、 C.エレガンスの神経細胞再生を生きたまま研究可能です。 しかし、線虫は動き回るため、10%アガロースパッドマイクロビーズ溶液中にセットします。 カバーガラスをのせます。 マイクロビーズはパッドとカバーガラスの摩擦係数を増加させ、効率よく線虫を凍結させることができます。 軸索切断のためのスライドが準備できました。 顕微鏡の視野の真ん中に来るようにニューロンをセットします。 それからフットペダルを踏みレーザーを照射します。 適切なレーザー出力を使うことで、隣接臓器を傷つけずニューロンを切断できます。 一匹から出来る限り多くの軸索を切断しましょう。 その後スライドからアガロースパッドを慎重に取り除き、NGMプレート上、20℃で線虫を回復させます。 軸索切断後8から48時間、ニューロンは再生可能です。(K) 切断遠位部のニューロンは断端形状です。(L) 一方で、近位部は細長い神経突起を形作っています。(M)

今回はJoVE、C.エレガンスメンテナンスの基本編を見て来ました。 このビデオでは、C.エレガンスの飼育と摂食、ハンドリング、冷凍保存と凍結溶解の方法を学びました。 また、C.エレガンスを利用した研究の応用についても簡単に紹介しました。 C.エレガンスは哺乳類とは大きく異なると思われがちですが、遺伝子の類似性、メンテナンスや操作の簡便性などから、哺乳類の生物学、疾患の解明のために非常に有用な生物なのです。 ご覧いただきありがとうございました。

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