出芽酵母の培養とメンテナンス

Biology I

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Summary

出芽細胞を用いた研究により、細胞周期の制御、老化、細胞死などの重要な細胞内メカニズムの理解が深まっています。酵母は、低コストで培養できる、そのまますぐに使用可能な株が簡単に入手できる、などの利点が挙げられます。しかし一方で、適切なメンテナンスが実験成功への鍵となります。

このビデオでは、研究室での出芽酵母の培養、メンテナンス方法の概要をお伝えすると共に、分光光度計を用いた増殖曲線の作成方法など、酵母の増殖をモニタリングするときに必要な基本概念についても説明しています。さらに、研究室での酵母のメンテナンスに要求される実践的なテクニック、具体的には培地の準備、酵母細胞の培養の始め方、そしてその保管方法、についてもご覧いただけます。そして最後に、これら操作方法やメンテナンス技術の基礎研究への応用について紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. モデル生物I: 出芽酵母、ショウジョウバエ、C. elegans. 出芽酵母の培養とメンテナンス. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

出芽酵母での 細胞周期制御機構や テロメラーゼ活性、オートファジー が発見され、酵母が研究に有益であることが分かりました。 酵母は増殖させやすく、酵母プラスミドや酵母株は市販されており簡単に入手できます。 低価格で酵母の培養ができますが、酵母のメンテナンスが何より実験成功への鍵となります。 これから、研究室でどのように出芽酵母が培養され、メンテナンスされているか見ていきましょう。

生物学では、一定期間における菌数の変化を増殖曲線で表します。 酵母の増殖曲線は、600ナノメートルで測定した光学濃度、ODをy軸に、時間をx軸にプロットし作成します。 光学濃度は一般に吸光度と呼ばれ、酵母浮遊液を通過する光の透過率の対数で表されます。 特定波長の吸光度の測定には分光光度計を用います。

酵母株の増殖曲線は、異なる時間間隔で吸光度を測定し算出します。 酵母増殖曲線は誘導期、指数増殖期、静止期の3つのフェーズに分かれています。 誘導期には、環境に適応し、成長しますが分裂はしません。 指数増殖期には、活発に分裂し細胞が倍増します。 そして栄養分が枯渇すると静止期に入り、細胞分裂は停滞し細胞数は一定となります。

増殖曲線から株の倍加時間が算出できます。 OD1、OD2は吸光度測定値、T1 、T2は測定時間を表します。 倍加時間は細胞数が2倍になるのに必要な時間のことです。 誘導期における二つの吸光度の値、ここでは0.2から0.5までを計算します。 野生型酵母の倍加時間は約90分であることが分かります。

倍加時間を算出することで、的確な実験スケージュールを立てることができます。

酵母増殖曲線の基本を学んだところで、実際に酵母を育てるための準備の過程を見ていきましょう。 最適な酵母増殖培地の主成分は、酵母エキス、ペプトン、糖源です。 酵母エキスには、細胞壁を除く細胞含有物、アミノ酸、ビタミン、糖質、その他増殖に必要な栄養分が含まれています。 ペプトンは動物の肉やミルクに含まれ、酵母培地でのアミノ酸の供給源となります。 グルコースなどの糖は、増殖細胞に栄養を与えます。

酵母エキスとペプトンを水に溶解後、オートクレーブで滅菌します。 その後液体培地に寒天を加え、その混合物をプレートに流し込み、室温で凝固させます。 酵母のコロニーを得るために画線培養します。

これで培地の準備完了です。さて、これからどう培養して増殖させていくのでしょうか? まず真っ先にすべきことは、器具、溶液、培地の滅菌です。

次に、酵母をストリーキングします。 そのストリーキングではありません! ご覧のように滅菌した器具を使って寒天培地に酵母培養液をまくことです。 画線部で酵母からシングルコロニーが形成され、純粋な遺伝的集団を獲得することができます。 ストリーキングしたプレートは、反転させ30度で2、3日インキュベートします。 この温度は酵母が増殖するための最適温度です。

コロニーが形成したら、少量の増殖培地に酵母を植菌します。 植菌とは、シングルコロニーを取り出し、培地に軽く混合し導入することです。 その培地を30度、シェーカーまたはローテータを使って48時間インキュベートします。

より細胞を増殖させるため、培養2日後に600ナノメートルで吸光度を測定します。 吸光度が約0.1から0.2になるように希釈します。 細胞を希釈後、30度でシェーカーにかけ、目的の吸光度になるまで増殖させます。

出芽細胞増殖方法を学んだ次に重要なレッスンは、後で使うための保管方法です。 酵母増殖しているプレートは4度で3か月保管できます。 ですが、もし新たに培養を開始したいときは、植菌する前に新鮮なプレートに再度ストリークしてください。

酵母株を長期間保管したいときは、グリセロールを入れたクライオバイアルに分注します。 それをマイナス80度で数年間保存可能です。

これで酵母の増殖に関してあなたはプロです。さあこの重要なテクニックをどう科学研究に応用できるか見てみましょう。 静止期の細胞は、老化によるゲノムDNA制御不安定化の遺伝子研究に役立ちます。 このビデオでは、培養3日後の細胞を回収しています。 正常な酵母の増殖を防ぐため特殊な培地に加えています。 このプレートでは変異のある酵母のみがコロニーを形成します。 コロニー数はDNA変異に比例しています。

別の例では、酵母の経時的な寿命を分析し老化研究を行っています。 経時的な老化は、長年に渡る細胞生存能の低下を意味し、このように増殖培養液を使って研究できます。 ここでは、科学者が、様々な培養サンプルを分光光度計にセットし、細胞生存能を判定するための増殖曲線を作成しています。

指数増殖期の野生型酵母は健康な正常細胞とみなされ、リボソームなど真核生物の細胞小器官の研究に役立ちます。 このビデオでは、指数増殖期の酵母のセルライセートをショ糖濃度勾配溶液に添加し、遠心分離によりリボソーム分隔を回収しています。 吸光度モニターによりリボソームプロファイルを作成することができます。

このJoVE出芽細胞の培養とメンテナンス編では、酵母増殖曲線、培養細胞の増殖方法の実演、酵母株の保管法について学びました。 ご覧いただきありがとうございました。ぜひたくさんの人とこのビデオを共有してください。

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