マウスへの薬物投与の方法

Biology II

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Summary

マウス(Mus musculus)を用いて実施される多くの研究は、動物体内へ薬物を投与することが求められます。例えば、ある治療の有効性の調査、病態の誘発、麻酔処置や緩和ケアの研究などが挙げられます。安全で効率的に薬物を投与するためには、治療実施前に様々な要因を考慮しなければなりません。

このビデオでは、マウスへの薬物投与について解説しています。例えば、実験薬の投与計画を立てる場合は、薬剤の粘度や容量、そして嗜好性について検討します。その後、インジェクションの方法やシリンジや注射針の構造、注射針のゲージ数の説明、インジェクションを行う際のマウスの固定の仕方を学ぶことができます。また、マウスへの皮下投与(SC/SubQ)、腹腔内投与(IP)、静脈(鼻静脈)内投与(IV)について詳細に解説しています。最後に、これらテクニックを用いたアプリケーション例やその他の投与方法も紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. モデル生物II: マウス、ゼブラフィッシュ、ニワトリ. マウスへの薬物投与の方法. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

マウスに薬物を投与することが多くの実験で行われます。そうすることでこれら薬物の効果を試験することができます。また、実験準備段階で動物に投与される薬物もあります。このビデオでは、実験薬の投与に関する重要事項、薬物導入に用いるツール、そしてこの必須テクニックの応用例を紹介していきます。

薬物を投与して実験を行う際の重要事項には何があるのでしょうか?

まず第一に適切な容量の決定です。通常、動物の体重に従い正しい容量を算出し投与します。

また、適切な投与方法を選択することも重要です。薬物の味や粘度といった特徴、その他にも投与量、標的組織、拡散効率などによって適切な投与法を選択します。このビデオでは、最も効率的な薬物投与法のひとつであるインジェクションについて解説していきます。

本題に入る前に、まずはインジェクション用のツールを見ていきましょう。これはシリンジです。目盛りに従い正確な容量の液体を充填することができます。そして可動式のプランジャーを使ってその液体を注入します。

シリンジチップは針基を取り付ける部分です。その反対側には斜角のついたチップが見られます。注射針の取り扱いには十分注意して下さい。

針の太さつまりゲージ数は針基の色によって識別できます。数字が大きいほど針が細いことを示します。ゲージ数は投与経路に応じて選択します。細かく繊細な領域への投与には、細い針を使用します。

適切な注射針とシリンジを選択したらプランジャーを引いて薬物を中に充填していきます。このとき気泡が入ると、組織を破壊し動物に危害を与える原因となります。そのため、シリンジ先端を上に向け軽くたたいて気泡を取り除いてください。このとき可能ならば少しだけ液体を出して完全に気泡が取り除かれたことを確認しましょう。

薬物をシリンジに充填できたらインジェクションを開始していきます。

インジェクション開始前にグローブなど適切な個人用保護具を身に付けてください。また、動物はインジェクションを行う部位に応じて適切に取り扱わなければなりません。

皮下投与とは、動物の首の後ろの真皮から薬物を注入する方法です。“scruffing”法でマウスを固定します。まずは尻尾をつまんでケージの蓋にマウスを掴まらせます。そして首筋をつまみあげ固定し、肩の皮膚がピンと張るようにします。

そのピンと張った皮膚の根元部分に針を挿入し、プランジャーを一定の力で押して薬物を投与します。注入された薬物はゆっくりと血中に吸収されていきます。

腹腔内投与を実施すると、口からの摂取とほぼ同じ速度で薬物が吸収されていきます。先ほどの首筋をつまんだマウスをひっくり返し、尻尾を小指と薬指で挟みます。

次にこのようにお腹を四等分したときの下方、左右どちらかに針を挿入します。そしてプランジャーを一定の力で押すことで数百マイクロリットルの薬物を投与できます。さらに、より効率良く全身に薬物を拡散させる方法として静脈内投与があります。

静脈内投与は、尾静脈からの注入が最も一般的です。最初にヒートランプのもとで数分間マウスを温めることで血管が浮き上がり針の挿入が容易になります。マウスが動かないようにプラスチックの容器に入れ、後ろの穴から尻尾だけが出るようにします。

正しい血管を見つけ出すことが静脈内投与には不可欠となります。尾静脈は尻尾の側面に2本通っています。尻尾の裏面にあるのは動脈なので気をつけましょう。

針先の斜めになった方を上に向け、静脈に挿入します。正しくインジェクションが行われると、薬物が血管を流れるのに応じて、静脈がダークブルーから白っぽい色へと変化していきます。

インジェクション後、注射針はバイオハザードの針入れにキャップをせずに廃棄して下さい。針の再使用はやめましょう。上手く挿入できずマウスを傷つけてしまう恐れがあります。

ここまで一般的な投与方法を学んできました。それでは実際に薬物投与を利用する実験を見ていきましょう。

特定病原体をマウスに感染させ、病態の進行や宿主と病原体との相互作用について研究されることがあります。例えば、抗生物質耐性菌を皮下投与した後に生じる病変部位の大きさから病原体の毒性を調べることができます。また、あしの裏へインジェクションを行うことで免疫細胞の凝集をライブイメージングで観察することも可能です。

マウスはがんの進行や治療法の研究にも有用な疾患モデルとなります。マウスに発がん性物質やがん細胞を注入することで、素早くまた効率的に悪性腫瘍を誘発させる事ができます。

しかしながら、インジェクション以外にも薬物を投与する方法はあります。鼻腔内投与により目的の薬物を肺に取り込ませることで呼吸器疾患の研究が行われます。他にも、チューブを使用して直接かつ確実に正確な量の薬物を胃に送ることができます。食べ物や水と一緒に摂取させるだけでは目的の薬物量に達しないときに利用します。

ここまでマウスへの実験薬の投与法について紹介してきました。このビデオでは、薬物を投与する際の重要事項、またインジェクション用のツールや方法、そしていくつかの研究例を紹介しました。ご覧いただきありがとうございました。

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