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Biochemistry

in vitroでカルシウム沈着を定量するための半自動化された再現性のある生物学的ベースの方法

Published: June 2, 2022 doi: 10.3791/64029
* These authors contributed equally

Summary

心血管疾患は、世界中の主要な死因です。血管石灰化は、心血管の罹患率と死亡率の負担に大きく貢献します。.このプロトコルは、蛍光イメージングによって血管平滑筋細胞媒介カルシウム沈殿 をin vitro で定量化する簡単な方法を記載しています。

Abstract

血管石灰化は、炎症、細胞表現型の変化、細胞死、石灰化阻害剤の欠如を含む一連の変性病理を含み、同時に血管の弾力性および機能の喪失をもたらす。血管石灰化は、慢性腎臓病、真性糖尿病、アテローム性動脈硬化症など、多くの病状における罹患率と死亡率の重要な原因です。血管石灰化を研究するための現在の研究モデルは限られており、in vivoでの石灰化発生の後期段階でのみ実行可能です。血管石灰化を研究するためのin vitroツールは、エンドポイント測定を使用し、生物学的材料に対する要求を高め、研究研究にばらつきを導入するリスクを冒します。ヒト血管平滑筋細胞上でのin vitro石灰化発生に結合し、in vitro石灰化のリアルタイム発生を決定する新しい蛍光標識プローブの応用を実証します。このプロトコルでは、トランスレーショナルアプリケーションの可能性を秘めた疾患モデリングの新しいツールである、新しく開発された石灰化アッセイのアプリケーションについて説明します。このアッセイは、骨、軟骨、歯科研究への応用を含む、より幅広い鉱物沈着研究に関連すると想定しています。

Introduction

血管石灰化(VC)は、心血管の罹患率と死亡率の独立した危険因子です1,2,3長い間、異所性ミネラル沈着の受動的な化学プロセスと考えられていましたが、現在では、疾患のドライバーとして活性化血管平滑筋細胞(hVSMC)を含むさまざまな細胞の積極的な寄与を含む修正可能な組織治癒応答のように見えます4,5生体内VCは、アテローム性動脈硬化性負荷の評価としてマルチスライスCTスキャンによって測定することができる678現在、VCの重症度が心血管疾患、II型糖尿病、慢性腎臓病、および老化9,10,11,12,13,14,15の危険因子として認識されるようになるというパラダイムシフトが進行中です。

hVSMCは、心血管系で最も豊富な細胞型であり、VCの発生における主要なアクターです。in vitro hVSMC誘発石灰化は、心血管疾患の研究に広く使用されている疾患モデルです16,17。ただし、in vitro石灰化の検出のためのほとんどのプロトコルは、データ収集を制限し、細胞物質のより多くの使用を必要とし、研究を遅らせる可能性のあるエンドポイント測定を使用します。in vitro hVSMC石灰化を検出するための一般的な方法には、総タンパク質に対する可溶化カルシウム沈着を測定し、細胞溶解を必要とするo-クレゾルフタレインアッセイが含まれます18。また、アリザリンレッド染色が使用され、これは固定された細胞または組織19上のカルシウム沈着物に直接結合する。o-クレゾルフタレインまたはアリザリンレッドのいずれかでhVSMC石灰化を経時的に研究するには、時点ごとに反復のバッチが必要であり、生物学的材料の需要が増加し、ひいては変動の可能性が高まります。

本論文では、蛍光イメージングプローブを用いたhVSMCsを利用して、 in vitro VCの進行を決定し、特異な末期石灰化アッセイとして機能する新しいアッセイの適用方法について詳しく説明します。我々は以前に、このアッセイがo-クレゾルフタレインおよびアリザリンレッド法に直接匹敵し、さまざまな培養条件を区別するために使用できることを実証しました20。リアルタイム測定に加えて、このアッセイは、臨床VC開発のための代理マーカーとしての血清または血漿サンプルの傾向を決定するために使用され得る20。これは、心臓血管科学と疾患モデリングの生物学的戦略の適用に役立ちます。アッセイのさらなる用途は、血清または血漿などの血液成分からのVC重症度または進行を評価するためのトランスレーショナルバイオハイブリッドシステムとしてであり得る。

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Protocol

1. 細胞の播種、維持、石灰化誘導

  1. 初代細胞の培養には、層流キャビネット、手袋、および滅菌装置を使用します。作業の前後に手と作業スペースを消毒します。すべての初代細胞と培地は、特に証明されていない限り、潜在的なバイオハザードとして扱います。好ましくは廃棄前に余剰細胞および培地をオートクレーブする。化学的に不活性化してオートクレーブすると有毒ガスが放出されるため、オートクレーブは行わないでください。
  2. コーティングされていない細胞培養プレート上でhVSMCを培養します。
  3. 10%-20%FBSおよび1%ペン/連鎖球菌を添加したM199培地からなる増殖培地でhVSMCを日常的に維持し、37°Cおよび5%CO2でインキュベートします。
  4. 70%〜90%のコンフルエントで細胞を分割します。
    1. 分割するには、hVSMC を PBS で 2 回洗浄します。トリプシンを加え、37°Cで2〜5分間インキュベートします。 顕微鏡下で細胞の剥離を確認します。
    2. 血清含有培地を添加してトリプシン反応を阻害する。細胞を350 x g で4分間遠心分離し、ペレットを維持培地に再懸濁します。hVSMC は 1:2 分割スキームに従います。
  5. 石灰化実験を開始するには、分割の手順に従って細胞を準備します(ステップ1.4.1)。再懸濁したら、細胞とシードを密度10-15 x10 3 細胞/cm2で48ウェルプレートにカウントします。 補足図1で推奨されているように、外側のウェルの使用を避けて細胞に播種します。
  6. 細胞を接着させ、37°Cおよび5%CO2でインキュベートしながら24時間(一晩)回復させます。
  7. 細胞をPBSで2回穏やかに洗浄し、2回目の 洗浄後に残りのすべてのPBSを注意深く吸引します。
  8. 石灰化培地を穏やかに加え、さらに37°Cおよび5%CO2でインキュベートします。石灰化培地には、石灰化刺激、蛍光標識されたフェチュインA(赤色蛍光タンパク質[RFP]など)(1 μg/mL)、およびHOECHST 33342(0.1 μg/mL)核染色または同様の生蛍光核染色が含まれている必要があります。DAPI は非透過性であるため、使用しないでください。
  9. 石灰化が起こるまで光学顕微鏡で毎日チェックしてください。
    注:hVMSCの細胞培養および維持に関する注意事項については、 補足ファイル1を参照してください。

2. イメージングによる石灰化検出

メモ: 次のプロトコルは、準備、イメージング、およびデータ分析で実行する一般的な手順を示しています。自動イメージングプラットフォームと対応する画像解析ソフトウェア(詳細については、資料の表を参照)を使用した各ステップの手順をサポートするスクリーンショットは、補足ファイル2および補足ファイル3に記載されています。このプロトコルを適用するために、他の画像化機器および画像処理ツールを使用してもよい。ただし、各ウェルの同じ場所で繰り返しイメージングを行うことは、意味のあるデータ取得に不可欠です。再現性のある結果を得るには、すべてのイメージングステップで画像石灰化と再利用のためのプロトコルを作成する必要があります。この方法を初めて適用するときは、以下の手順に従ってイメージングの前に準備してください。

  1. プロトコルのセットアップ
    1. ソフトウェアを開き、[プロトコル] と [新規作成] を選択します。
    2. [手順]を選択し、[温度の設定]をクリックします。ポップアップウィンドウで、温度を37°C、勾配を1°Cに設定し、[OK]をクリックします。ドロップダウンメニューから選択したプレートタイプを選択します。[画像] をクリックして、イメージング ステップを追加します。反転イメージャを選択し、「OK」をクリックします。
    3. 3つのイメージングチャンネルを追加し、DAPI(377、447 nm)、RFP(531、593 nm)、および明視野に設定します。[ モンタージュ ]ボックスにチェックマークを付けて、画像の目的の数と場所を設定します。48ウェルプレートの場合は2 x 2が一般的な選択肢です。オーバーラップを変更して、各井戸のカバレッジを改善します。イメージングするウェルを選択します。新しいウィンドウが開き、目的のウェルを選択できます。
    4. [フォーカスオプション]をクリックして、フォーカスモードを設定します。新しいウィンドウが開きます。各チャンネルを個別に設定します。一般的に、井戸は「DAPI」チャネルに自動焦点を合わせます。他のすべてのチャンネルを最初のチャンネルから焦点距離を固定に設定し、「OK」をクリックして設定します。ウィンドウを閉じます。
    5. [データ削減]をクリックして事前設定 データ削減 手順を開始し、[ 画像前処理]を選択します。このステップを設定すると、蛍光バックグラウンドが減少します。[ OK] を選択して既定の設定をそのまま使用します。プレフィックス "TSF" が付いた新しいイメージのセットが作成されます。元の画像は保持されます。
    6. セルラー分析を選択して、細胞をカウントするステップを設定します。[チャネル] ドロップダウン メニューから [TSF DAPI イメージ] を選択します。イメージングの実行後にさらに詳細を設定します。このステップは、データ削減と見なすこともできます。常に元の画像を保持するようにしてください。
    7. 統計を選択してRFP(石灰化)信号の分析を準備します。ポップアップ ウィンドウで、[ステップ] というラベルを付け、入力チャネルとして [TSF RFP] を選択します。[上限値] ボックスと [下限値] ボックスにチェックマークを付けます。下のリストの[総面積]チェックボックスをオンにします。[色の効果] 列で [なし] を選択します。ポップアップウィンドウで、[カスタム]をクリックし、[背景]ボックスにチェックマークを付けます。これにより、評価を容易にするために、低高の結果が色分けされます。OKを押します。
    8. 公平に読み出すには、セルごとにRFP信号を正規化します。その際、セルごとに総面積が分割されます。このステップを設定するには、左側の 比率 を押します。ポップアップ ウィンドウで、ドロップダウン メニューから [データ入力 1 RFP 定量化: 総面積 ] を選択します。さらに、データ入力として セルカウント を選択します 2.
    9. 最後に、新しいデータセット名を選択し、[OK]と[OK]をもう一度押します。前述のように [色の効果] を選択します。左上隅にある [ファイル] を選択し、ファイルをプロトコル (.prt ファイルの種類) として保存します。
  2. 最初の石灰化が起こった後の毎日
    1. すべての時点について、これらの手順を繰り返します。スタートアップソフトウェアで、[ 今すぐ読む ]と [既存のプロトコル]を押します。前の手順で作成したプロトコルを選択します。プログラムは実験を保存するように求めます。これは、このステップで実行できますが、後のステップで左上の[ 保存 ]ボタンをクリックして手動で実行することもできます。
    2. ポップアップウィンドウは、システムが熱くなるのを待つように求めます。CO2 ガスコントローラーの電源を入れ、5%に設定します。
    3. システムが設定温度に達すると、プレートを挿入して読み取るように求めるプロンプトが表示されます。 キャンセルを押します。これは、各時点で、各蛍光色素の露出を個別に調整する必要があるためです。
    4. プレートをインキュベーターからイメージャーに輸送し、破損やこぼれに強く、事故が発生した場合に生細胞を輸送するための地域のバイオセーフティ規制に準拠した安全なボックスに入れます。プレートをプレートリーダーに入れます。
    5. キャンセル後、[手順]をクリックします。ポップアップウィンドウで、[イメージングステップのプリセット]を選択します。最初に DAPI チャネルのフォーカスと露出を調整します。すべてのチャンネルで[自動露出]ボックスのチェックを外します。次に、DAPIチャンネルの横にある顕微鏡アイコンをクリックします。新しいウィンドウが開きます。
    6. 焦点を当てる井戸を選択します。このステップでは、中程度から高い石灰化のウェルを使用してください。信号がすでに表示されている場合は、最初に [オートフォーカス ]、[ 自動露出]の順にクリックします。そうでない場合は、最初に露出を上げて、 オートフォーカス 自動露出を繰り返します。必要に応じて、露出ドロップダウンメニューを選択して手動で露出を調整できます。複数のウェルの設定を確認してください。満足したら、設定を保存します。
    7. すべてのチャンネルで同じ方法で露出を調整します。
      注意: 他のチャネルに焦点を合わせないでください。露出のみを調整します。フォーカスプレーンは、すべてのチャネルで同じである必要があります。
    8. プロシージャ ウィンドウを閉じます。上部のタスク バーにある緑色の [ 今すぐ読む ] ボタンを選択します。ソフトウェアで示されているように実験を保存します。
      注意: ソフトウェアは、選択した設定で選択したすべてのウェルを自動的に読み取るようになります。

3.データ分析

注:自動イメージングプラットフォームと対応する画像解析ソフトウェアを使用してデータ分析を実行する方法の詳細なスクリーンショットについては、補足ファイル4を参照してください。 代替のイメージング機器または分析ソフトウェアを使用する場合は、画像をエクスポートしてバッチ処理し、露出、蛍光閾値、または強度が比較データセット内のすべての画像で均等に調整されるようにする必要があります。

  1. システムがプレートを読み取る間、すべての画像はバックグラウンドで自動的に処理されます。表示する TSF DAPI イメージを選択して、セル数の設定を調整します。ダブルクリックして目的のウェルを選択します。新しいウィンドウがポップアップします。いずれかの画像を選択します。
  2. [ 分析 ] タブを選択します。ポップアップウィンドウで、[細胞 解析:細胞数]を選択します。 OK をクリックします。RFP チャンネルと明視野チャンネルの選択を解除します。[ ハイライトオブジェクト ]ボックスにチェックマークを付けます。
  3. [ オプション ] をクリックしてメニューを開きます。サイズと強度のしきい値を調整して、すべての原子核を含め、破片は除外します。 OK をクリックします。左下の[ 変更を適用 ]をクリックして、設定を他のすべての画像にも転送します。
  4. 以前と同様の方法で、中程度から大量の石灰化を伴うウェルと画像を選択して、信号対雑音比を最適に調整します。タスクメニューの[ 分析 ]タブをクリックします。
    1. 今回は [画像統計] を選択します。DAPIと明視野チャンネルの選択を解除します。[ オプション ] をクリックしてメニューを開きます。[ しきい値の外れ値] ボックスにチェックを入れます。しきい値の上限値と下限値を調整します。信号がバックグラウンドより上にある場合にのみ信号をカウントし、破片/アーティファクトがある場合は除外します。
    2. バックグラウンドより上の信号に非主観的なしきい値を設定するには、タスクバーからラインツールを選択します。ウィンドウがポップアップします。信号のパッチに線を引きますが、背景の領域も含めてください。
      注意: ポップアップウィンドウにグラフが表示され、背景線より上の信号を表すピークが表示されます。25% のピーク高さの値は、推奨されるしきい値を表します。また、適切なスレッショルドを確実に選択するために、複数の信号パッチを測定することをお勧めします。信号のパッチを選択する際に、信号強度が非常に高い領域を選択すると、中程度またはそれ以下の信号を無視するしきい値が発生する可能性があります。したがって、バックグラウンドより上の中程度から低信号のパッチを選択することをお勧めします。高すぎる、低すぎる、および正確なしきい値の例を 補足ファイル 4 に示します。
    3. 問題がなければ、[ OK ]と[ 変更を適用 ]をクリックして、設定を他のすべてのウェルに転送します。他のウェルで閾値が正確に選択されているかどうかを確認します。
  5. セル数と RFP しきい値を設定したら、データをエクスポートします。目的のプレートを選択します。ドロップダウンメニューでは、エクスポートする複数のパラメータを選択できます。関連するのは、セル数、RFP面積、およびグループ間の比較に使用されるメトリックである「面積/セル」です。ドロップダウン メニューの横にある [Excel ] ボタンをクリックして、データをスプレッドシートに直接エクスポートします。
    注:ドロップダウンメニューで、セル数の計算値、RFP信号の総面積(石灰化の面積を反映)、およびセルあたりのRFP信号の総面積の正規化された比率を個別に選択してスプレッドシートにエクスポートできるようになりました。結果をセルあたりのRFP信号の総面積の比として表示し、可視化します(棒グラフなど)。対応のないスチューデントのt検定を適用して2つのグループを比較するか、対応のない分散分析を適用して異なるグループを同時に比較します。異なる時点で同じグループを比較するには、対応のある統計分析が必要になる場合があります。

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Representative Results

結果には、HOECHST染色核の元の画像、RFP標識石灰化、および明視野画像が含まれます。低(図2)から高(図3)までの石灰化のさまざまな段階を検出および分析できます。石灰化は通常、光学顕微鏡を使用して黒い斑点として発見することができ(図2D および 図3B、矢印は石灰化を示します)、一次評価およびイメージングを開始する時期の決定に役立ちます。信号対雑音比を改善するには、処理されたRFP画像を分析して石灰化を定量化する必要があります(図2F および 図3D、矢印は石灰化を示します)。最後に、データは、代表的な画像を伴って、ある時点で2つ以上の条件を比較する棒グラフとして提示され得る(図4A、B、C)。データは、細胞数に対して正規化して表示する必要があります(たとえば、細胞あたりの石灰化領域として)。データは、異なる時点における同じ条件を示す時系列データとして表示することもできる(図4D)。

Figure 1
図1:半自動石灰化の検出と分析の手順を要約したビジュアルアブストラクトこの図の拡大版を表示するには、ここをクリックしてください。

Figure 2
図2:早期石灰化の例 。 (A)オーバーレイ画像は、(B)個別のDAPI(核)、(C)RFP(石灰化)、および(D)明視野画像として表示および解析できます。(E)核はソフトウェアによって識別され、黄色の円で強調表示して設定を調整することができます。(F)RFP信号の分析のために、バックグラウンド信号を低減するために画像を前処理し、(G)続いて、信号を測定するための閾値を設定することができる。矢印は、(D)明視野および(F &G)変換RFP画像における石灰化を示す。 この図の拡大版を表示するには、ここをクリックしてください。

Figure 3
図3:後期石灰化の例 。 (A)オーバーレイ画像は、(B)明視野、(C)RFP(石灰化)、および(E)DAPI(核)画像として表示および分析できます。(D)RFP信号の分析のために、画像はバックグラウンド信号を減らすために前処理されます。矢印は、(B)明視野および(D)変換RFP画像における石灰化を示す。 この図の拡大版を表示するには、ここをクリックしてください。

Figure 4
図4:石灰化培地を用いた培養14日後のhVSMCの低石灰化と高石灰化の代表的な比較。一般に、データは棒グラフとして表示され、対応のないスチューデントのt検定を使用して分析される場合があります。(A)低石灰化と(B)高石灰化の代表画像。赤い信号(RFP)は石灰化を反映し、青い信号(HOECHST)は核を示します。(C)石灰化は、細胞あたりのフェチュインA-RFP陽性シグナル(総面積)として提示されます。(d)経時的に測定した石灰化アッセイの例。この図の拡大版を表示するには、ここをクリックしてください。

補足図1:hVSMCを用いた石灰化実験に使用した一連のウェルの例。ウェルの外輪は石灰化実験には使用されず、液体で満たされています。このファイルをダウンロードするには、ここをクリックしてください。

補足ファイル1:hVMSCの細胞培養と維持に関する注意事項。このファイルをダウンロードするには、ここをクリックしてください。

補足ファイル2:自動イメージングプロトコル。このファイルをダウンロードするには、ここをクリックしてください。

補足ファイル3:画像解析プロトコル。このファイルをダウンロードするには、ここをクリックしてください。

補足ファイル4:データ分析プロトコル。このファイルをダウンロードするには、ここをクリックしてください。

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Discussion

本稿では, in vitro 石灰化判定のための半自動法について述べる。この方法では、hVSMC石灰化の3つの重要なステップを最適化する必要があります。まず、細胞密度はhVSMC石灰化の発生に重要です。hVSMCの密度が低いと、細胞間接触の欠如と石灰化条件下で誘発されるストレスにより、石灰化が遅いかまったくないか、細胞死が発生します21。細胞密度が高いと過剰コンフルエントになり、その後細胞は老化し22 、石灰化の発達が止まります。その後の石灰化発生に使用されるウェルプレートに約70%のコンフルエントを播種し、hVSMCの増殖能力と細胞接続を確保することが重要です。

第二に、石灰化誘導に使用される細胞培養培地は最適化を必要とする。血管石灰化研究において、様々な状態および培地組成がhVSMCを石灰化することが報告されている23,24。この方法は、あらゆる種類のin vitro媒介性石灰化の検出に適していると考えられており、カルシウム、リン酸塩、またはリン酸カルシウム刺激沈着物の検出に使用されています。石灰化誘導のモードに関係なく、石灰化媒体の最適化は極めて重要です。提示されたプロトコルでは、総カルシウム濃度4.5 mMCa2+のM199と2.5%FBSを使用して石灰化誘導を最適化しました。

最後に、石灰化中のプレートの局所的な違いが観察されています。サンプルの偏りを防ぐために、テクニカルレプリケートのランダムローディングを適用することが重要です。さらに、外側の井戸レーンの負荷は、48ウェルの設定では常により急速に石灰化するため、避ける必要があります。これは、プレート内の湿度の調節不全によって引き起こされる可能性があり、最も外側のウェルを使用せず、これらのウェルに大量の液体をロードすることで、これを制御するのに役立ちます。

石灰化アッセイ自体は、特定のセットアップでの再現性を確保するために複数の最適化ステップを必要とする場合がありますが、一度起動して実行すると、これは簡単になります。石灰化アッセイは、さらなる最適化を必要とせずに、確立された条件下で同時に繰り返し実行できます。hVSMCを介した石灰化は困難な場合があり、アッセイの堅牢性を達成する前に実験が必要です。研究者は、通常のイメージングを開始する前に最適なタイミングを決定できる必要があり、最大1週間かかる場合があります。実験開始から固定のイメージングスケジュールを確立することができますが、これにより、差分読み出しなしで多くの画像が生成され、画像に比較的大量のデータストレージが使用され、分析に時間がかかる可能性があります。

このプロトコルに記載される手順は、石灰化アッセイの分析を実行する1つの方法である。他の目的のために、手順はそれに応じて調整されるべきです。参照された自動イメージングプラットフォームを使用した分析は再現性を保証しますが、分析は任意の生細胞および温度およびCO2制御イメージングデバイスを使用して実行できます。さらに、対応する商用ソフトウェアパッケージは、ハイコンテントの細胞スクリーニングおよび分析用に最適化されており、石灰化傾向の経時的な測定に最適です。フリーウェアのImageJなどの他のソフトウェアソリューションは、画像分析を提供し、石灰化の発達を定量化することもできます。

後期石灰化プレートのイメージングは、培養物が浮遊破片に遭遇した場合のオートフォーカスの問題により困難な場合があり、その結果、鮮明な画像と複製の数が減少します。画像分析はそれに応じて調整する必要があり、分析を改善および簡素化するために、このプロトコルで採用されているソフトウェアでいくつかのソリューションが開発されています。

細胞の不均一性は、 in vitroでの石灰化の定量化において重要な役割を果たします。このプラットフォームでは、石灰化を開発するためのバイオセンサーとしてhVSMCを使用しています。原発性hVSMCは、根底にある血管病変が異なるさまざまなドナーに由来します。したがって、このアッセイは、VSMCバッチの不均一性のために依然として高い変動性の影響を受けます。考えられる解決策は、不死化細胞株の使用または多能性幹細胞由来のhVSMCの使用です。

別の制限は、定量化方法が依然として主観に敏感であることです。石灰化アッセイの主観性は、最近までしか利用できなかったエンドポイントアッセイのために発生します。研究者は、いつ実験を中止して石灰化を測定するかを決定し、アッセイの主観性を高める必要があります。本稿で紹介した手法は、経時的に測定し、一定期間の石灰化の進行を比較できるという点で優れていると考えています。これに関連して、時間の経過とともに信号が減少するため、照明設定は時間ポイントごとに個別に調整する必要があります。このため、写真に表される信号の量は、依然として個人の意見に左右されます。ポストイメージ解析を可能な限り客観的に実行できるように、最高の信号対雑音比で照明を実行することが重要です。

このアッセイの主観性は限界であると考えていますが、他の in vitro 石灰化法よりも優れていると考えています。既存の方法とは異なり、当社の半自動石灰化アッセイは、画像を匿名で分析できるため、独立した盲検意見を提供できるという利点があります。さらに、画像は、データセット全体で同じ定義された設定で後の段階で分析できるため、主観性が低下します。

石灰化決定の現在の方法は、エンドポイント測定に依存するか、または血管成分を欠いている252627。診療所では、コンピューター断層撮影、血管内超音波、磁気共鳴画像法などのツールは高価であり、患者にとって負担がかかります。バイオマーカー研究はその使用を証明していますが、患者の石灰化の負担を反映していません。この半自動アッセイは、単一のバイオマーカーだけでなく、患者の心血管状態を反映した循環成分のコレクションを使用すると考えています。これは、バイオセンサとして石灰化応答を測定するために使用することができる。記載された方法の潜在的なさらなる用途には、血管石灰化の個別化開発のための代理マーカーとしてのインビトロ石灰化開発のための患者の血清スクリーニングが含まれる。このプラットフォームは、心血管状態と予後不良の患者に関連する代謝性疾患と非代謝性疾患の両方に加えて、透析とビタミンK治療に対する感度を実証しています20。アッセイの原理はカルシウム結晶の検出に基づいているため、変形性関節症、骨粗鬆症、骨再生医学、歯科研究など、石灰化が関連する可能性のある他の研究分野にも関連している可能性があると仮定します。

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Disclosures

Leon Schurgersは、Bayer、Boehringer Ingelheim、NattoPharma、IDSから機関助成金を受けています。レオン・シュルガーズは凝固プロファイルの株式を所有しています。Willi Jahnen-Dechentは、CALCISCON AGの共同創設者兼株主です。

Acknowledgments

この研究は、マリー・スクロドフスカ・キュリー助成金契約第722609 764474号、NWO ZonMw(MKMD 40-42600-98-13007)に基づく欧州連合のホライズン2020研究およびイノベーションプログラムによって資金提供されました。この研究はBioSPXの支援を受けました。WJ-Dは、ドイツ研究財団(DFG)から資金提供を受けました TRR219-プロジェクトID 322900939およびプロジェクトID 403041552

Materials

Name Company Catalog Number Comments
Calcium chloride, 93%, anhydrous Thermo Fisher Scientific 349615000
Costar 6-well Clear TC-treated well plates Corning 3516
Cytation 3 System BioTek, Abcoude, The Netherlands
Fetal Bovine Serum Merck F7524-100ML
Fetuin-A-Alexa Fluor-546 Prepared in-house
Gen5 Software v3.10 BioTek
Gibco Medium 199 Thermo Fisher Scientific 11150059
Hoechst 33342, Trihydrochloride Thermo Fisher Scientific H3570
PBS (10X), pH 7.4 Thermo Fisher Scientific 70011044
Penicillin-Streptomycin Thermo Fisher Scientific 15140122
Trypsin-EDTA (0.05%), phenol red Thermo Fisher Scientific 25300062

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References

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生化学、第184号、
in <em>vitro</em>でカルシウム沈着を定量するための半自動化された再現性のある生物学的ベースの方法
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Jaminon, A. M. G., Rapp, N.,More

Jaminon, A. M. G., Rapp, N., Akbulut, A. C., Dzhanaev, R., Reutelingsperger, C. P., Jahnen-Dechent, W., Schurgers, L. J. A Semi-Automated and Reproducible Biological-Based Method to Quantify Calcium Deposition In Vitro. J. Vis. Exp. (184), e64029, doi:10.3791/64029 (2022).

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