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General Laboratory Techniques

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分光光度計の紹介

Summary

Overview

分光光度計は、科学系の研究で日常的に使用される分析装置です。吸光光度法とは、サンプルを透過した光がどれだけ化学物質に吸収されるかを分光光度計を利用して定量する測定法です。このビデオでは、透過率、吸光度、ランベルト・ベールの法則についての解説など吸光光度法の概念や分光光度計の構造を紹介しています。これらは、紫外•可視領域で測定された吸光度から溶液中の溶質濃度を定量するときの基盤となる概念です。また、ブランクの設定方法や目的の測定波長を用いたサンプルの吸光度測定法などの分光光度計の操作法、さらにサンプル濃度を定量するときに必要となる検量線についても触れています。最後に、細胞密度や化学反応速度の測定など生物学研究における分光光度計の利用方法やタンパク質や核酸の特性及び量を知るための微量分光光度計も紹介しています。

Procedure

分光光度計は、生物学や化学系、臨床および環境研究などで必須となる分析装置です。

吸光光度法は、サンプルを透過した光がどれだけ化学物質に吸収されるかを分光光度計を利用して定量する測定法です。

透過した光の強度を測定することで、サンプルの溶質濃度を知ることができます。

サンプルへ入射する光は粒子の性質を持つ光子で構成されています。

光子がサンプル中の分子に衝突すると、その分子により光子がいくつか吸収され、光子数が減少するため、検出される光の強度が減少します。

透過率は、サンプルを通過する光の割合のことで、透過光強度と入射光強度の比で表されます。吸光度は透過率の逆対数で表すことができ、分光光度計でその値を得ることができます。

ランベルト・ベールの法則を使ってその吸光度からサンプル溶液の濃度を定量できます。これは吸光度とサンプル濃度は直線関係にあるという法則です。この法則では、吸光度は、特定波長での溶液の光の吸収度を示す吸光係数、光がサンプルを通過する距離、又は光路長、そしてサンプル濃度との積で表されます。多くの場合、サンプル濃度を定量するために吸光度が測定されます。

分光光度計は以下のパーツで構成されています。まずは光源ランプ、光を集め強い直線光にするためのレンズ装置、コリメーター、光線を波長ごとに分散させるモノクロメーター、目的波長を取り出すための波長セレクター又はスリット。このビデオで取り上げる波長領域は紫外領域と可視領域です。さらに、分光光度計にはサンプルホルダーや光電検出器、そして検出器の出力を表示するためのスクリーンが備わっています。

最新の分光光度計では、実験条件の設定やデータ処置をコンピューター上で行うことができます。

吸光度の測定を始める前に、グローブの着用など、使用する生体サンプルや化学溶液に応じて適切な安全対策を講じて下さい。

サンプルの紫外可視吸収スペクトルの測定前に、まず装置の電源を入れ、ランプや電子機器を可動状態にします。

次に検体は含まずpHやイオン強度が同等のブランク溶液を準備します。セルや溶媒は光を分散するためこれは大切なステップとなります。

サンプルホルダーは、プラスチック又は石英製のキュベット用にデザインされています。ピペットを使ってブランク溶液をキュベットに移します。

キュベットに付着した指紋や汚れを拭き取ってから、ホルダーに正しくセットし、蓋を閉めます。

分光光度計から漏れ出た紫外線が目や皮膚に損傷を与える恐れがあるため、蓋は必ず閉めてください。

測定サンプルが吸収する特定波長を元に、波長又は波長領域を設定します。

次に、ブランク溶液の値をゼロに設定します。この値をサンプルの測定値からブランクとして差し引くことができます。

分光光度測定を用いる実験毎に、検量線を作製する必要があります。最終的にその検量線を使って測定サンプルの濃度を定量できます。

至適温度になったサンプルを気泡が入らないように優しく混和します。そして、サンプルを直接キュベットに加え、装置にセットし、測定を開始します。

サンプルの吸光度の測定が終了したら、実験に適した計算方法で、濃度や酵素活性の割合を算出できます。

分光光度計は、生物学研究で日常的に使用されています。

一般的な分光光度計の利用法の一つに細胞密度の測定があります。測定値からバクテリアの増殖曲線を作製することで、組み換えタンパク質の誘導に最適となる対数増殖期を知ることができます。

化学反応速度の測定にも分光光度計が利用されます。この実験では、452nmでの経時的な吸光度の変化から基質の消失を測定し酵素反応をモニターします。酵素反応速度はデータを適切な式にあてはめることで算出できます。

近年、微量分光光度計の登場により、サンプルホルダーの必要性がなくなりました。表面張力によりサンプルを保持できるようになっています。

微量分光光度計は、例えば、タンパク質や核酸などの生体分子のように量に限りのある高価なサンプルの濃度を測定する際に最適です。

280nmの波長を用いたタンパク質の吸光度は、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニンなどの芳香族側鎖の含有量やシステイン間のジスルフィド結合の存在に依存します。

タンパク質濃度は、280nmでの吸光度とアミノ酸組成に基づいた吸光係数から求めることができます。

DNA、RNAは共に260nmに吸収極大をもち、その波長で濃度を知ることができます。また、核酸の純度も特定波長での吸光度の比から定量できます。

ここまで、JoVE分光光度計編をご覧いただきました。このビデオでは、吸光光度法の概念や分光光度計の構造などの基本原理、分光光度計の操作方法、さらに生物学研究での応用例を紹介しました。ご覧いただきありがとうございました。

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