キイロショウジョウバエ幼虫を用いた免疫組織化学的検討

Biology I

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Summary

免疫組織化学的検討(IHC)は、組織内のタンパクの存在、場所の同定に用いる実験方法です。ショウジョウバエ幼虫は染色しやすく、特にIHCに適しています。さらに、ショウジョウバエ幼虫は透明であるため、解剖せずに観察できる組織もあります。

IHCでは、タンパク質を抗体で検出することができます。抗体は、ターゲットとなるタンパク内の「エピトープ」に特異的に結合します。このエピトープを保護するために、染色前には組織の固定が必須となります。さらに、抗体が膜を通過できるように、界面活性剤を用いて細胞の透過性を上げる必要があります。このビデオでは、解剖した幼虫組織の染色に必要な試薬や道具、そして固定、ブロッキング、染色などの工程を説明しています。また、蛍光顕微鏡検査法に必須の封入のテクニックもご覧いただけます。最後に様々な分野におけるこれら技術の応用例を紹介しています。

Cite this Video

JoVE Science Education Database. モデル生物I: 出芽酵母、ショウジョウバエ、C. elegans. キイロショウジョウバエ幼虫を用いた免疫組織化学的検討. JoVE, Cambridge, MA, (2017).

キイロショウジョウバエは、多用途で扱いやすいため広く研究に用いられるモデル生物です。 ショウジョウバエの幼虫を用いた免疫組織化学的検討、IHC により、タンパク質の存在、位置、共局在を調べることができます。 このビデオでは、ショウジョウバエの幼虫組織の解剖、固定、ブロッキング、封入方法とその応用例を見ていきます。

免疫組織化学は、ターゲットに対して特異的に結合する抗体を使って、組織のタンパク質を検出する手法です。

ショウジョウバエ幼虫の免疫組織化学は、適切な解剖が鍵となり、幼虫組織がもろいため、正確さと適時性が求められます。 解剖は通常リン酸緩衝食塩水、PBS中で行います。 摘出器官は、一時的に幼虫内部と同じPHのPBS中に保存します。 解剖の次は固定作業です。

固定とは、組織を保護するために希釈したホルムアルデヒド液に浸す過程のことです。 この固定液により、組織内の酵素によるタンパク質の分解を防ぐことができます。 固定に続いて、数回洗浄します。免疫染色では、トライトンX含有PBS溶液である、PBSTを用います。 界面活性剤であるトライトンX100は、細胞の透過性を上げるので、抗体や試薬が反応しやすくなります。 固定、洗浄に続いては、組織のブロッキング工程です。

ブロッキングとは、抗体が非特異的に組織に結合するのを防ぐためにあらかじめタンパク質を含んだ溶液で、組織を覆う作業のことです。 ブロッキングの次は、組織染色工程です。

染色により、標的タンパク質、つまり抗原に特異的な一次抗体を結合させます。 レポーター分子が結合した二次抗体を一次抗体に結合させます。 レポーター分子は、通常蛍光として観察できます。 各抗体のインキュベーション後、非特異的な結合を防ぐため抗体を十分に洗い落します。 染色工程の次は、サンプルの封入です。

染色結果を見るため、組織を丁寧にスライドに乗せます。 粘度のある試薬や封入剤で組織を包み込みます。 これで、サンプルを顕微鏡で観察することができます。 ここまで、ショウジョウバエの免疫組織化学の原理、工程について見てきました。

ここからは、免疫組織化学で使用する試薬、道具、またその過程について紹介します。 ショウジョウバエ幼虫の脳を固定するところからです。 ここでは、全脳を染色するホールマウント免疫染色を行っています。 解剖手順は、組織の種類で変わってきますが、免疫染色の主要工程は同じなので、次は固定作業にいきます。

脳の解剖が完了したら、ピペットでPBSを取り除きます。 固定剤を加え、プロトコールに従って、ここでは23分インキュベートします。 固定後は、サンプルをPBSTで4回洗浄します。 サンプルをブロッキング溶液中で少なくとも30分、室温でインキュベートします。

適切に希釈した一次抗体中で、4℃で一晩インキュベートします。 インキュベーション後、ピペットを使って PBSTで 脳を4回洗浄します。 二次抗体を4℃で一晩インキュベートします。蛍光退色を防ぐため暗所で行います。 その後再び、脳を4回、TBSTで洗浄します。

脳をマウント溶液中で、一時間、平衡化します。 その後、チップをカットしp200ピペットを用いて脳をスライドに移動させます。 サンプル周辺にスぺーサーを置き、壊れるのを防ぎます。 サンプルにカバーガラスをかけます。 マニキュア液で端を封入します。 これで、幼虫の脳は観察できる状態です。

ショウジョウバエの脳の免疫組織化学について学んできました。 ここからはIHCの応用について見ていきましょう。

ショウジョウバエの幼虫のイメージングには、別の解剖と固定方法を使います。 この実験では、細胞がどうやって特異的な形を作っていくのかを研究しています。 幼虫の気管の末端細胞の形態をトレーシングします。 研究者は、GFP発現するハエのラインを利用できます。 GFP発現は、水浴で熱を加えることで誘発されます。

解剖顕微鏡で蛍光発光している幼虫を選別します。 ハエが蛍光を発したら、GFP活性化の成功です。 これらのハエは熱により固定します。 解剖の必要はありません。 トレーシングするためのソフトウェアを使って、気管支と気管腔の細胞形態が確認できます。

ショウジョウバエの卵巣は、幹細胞とまわりの環境との相互作用を調べるのに最適なモデルです。

ショウジョウバエの卵巣のIHCは、卵巣と精巣を確認し、メスのショウジョウバエを識別することから始まります。 収集したメスの幼虫を各ウェルに移動させます。 そこで丁寧に解剖し卵巣を含む脂肪体と呼ばれる組織を獲得します。 脂肪体を固定、染色し、スライドに組織を置いたら、脂肪体から卵巣を離します。 スライドを封入し、観察の準備ができたら、蛍光染色により、幼虫卵巣内の体細胞と原始生殖細胞を確認します。

ショウジョウバエの幼虫の免疫組織化学の方法は、蛹と成虫とでほとんど変わりません。 様々な発生段階、 例えば、幼虫、蛹、成虫期のショウジョウバエの網膜を研究するためにも同じ手順でIHCが利用されます。 その結果、ショウジョウバエの網膜の様々な発生段階を知ることができます。

ショウジョウバエの幼虫の免疫組織化学には、たくさんの応用法があります。 このビデオでは、解剖、固定、染色、封入を含む幼虫の免疫染色方法について学びました。 ご覧いただきありがとうございました。

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