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蛍光顕微鏡の紹介

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蛍光とは、ある物質が特定波長の光を吸収し、それよりも長波長の光を放射することにより起こる現象です。励起状態に遷移し、余分なエネルギーを持つ不安定な状態の電子が、もとの基底状態に戻るときに蛍光が放出されます。励起光、つまり電子を高いエネルギー状態にする光は、放射される光よりも波長が短く、エネルギーが高いのが特徴です。放射される蛍光は波長が長く、低エネルギーで、色も異なります。

蛍光顕微鏡は、光学顕微鏡の機能に蛍光色素分子などの蛍光物質を励起させ、蛍光を検出する機能を合わせもった顕微鏡です。蛍光顕微鏡を利用することで、組織内の目的となる細胞や細胞内の分子を観察することができます。

蛍光顕微鏡は、光学顕微鏡の構造と類似していますが二つの大きな違いがあります。光源の種類が違うことと特殊なフィルターを使用するところです。

蛍光顕微鏡には、キセノンランプや水銀ランプのような非常に強力な光源が必要になります。水銀放電ランプから放たれる光は、白熱灯の10から100倍も明るく、紫外線から赤外線と波長領域が広いのが特徴です。蛍光顕微鏡で最も注意すべきものがこの強力な光源です。フィルターを通さず光を直接見ると、網膜を損傷させる恐れがあり、また取り扱いミスにより電球が破裂する危険性があります。

蛍光顕微鏡の基本原理はシンプルです。放電ランプから放たれた光は、励起フィルターを透過し、励起波長だけが抽出されます。

光がダイクロイックミラーにあたるとサンプルに向かって反射します。ダイクロイックミラーは励起光のみを反射する特殊な鏡です。反射された励起光は対物レンズを通ってサンプルに照射されます。サンプルから発光した蛍光は対物レンズに戻りダイクロイックミラーを透過します。

この光のうち励起波長のみがバリアフィルターで抽出され、その他の不要な散乱光は透過できません。フィルターを通った蛍光のみが検出され画像のデジタル化や接眼レンズでの観察が可能となります。

フィルターキューブは励起フィルター、ダイクロイックミラー、バリアフィルターで構成されています。フィルターキューブを切り替えることでサンプルに適した励起波長を選択でき、またダイアフラムを利用して励起強度を変えることができます。

蛍光顕微鏡で観察するには、蛍光色素分子(フルオロフォア)が重要となります。蛍光色素の種類によって、使用する励起波長と検出される発光波長は様々です。励起波長は蛍光色素分子により吸収される狭い範囲のエネルギーを持っており、励起状態に遷移させます。

励起波長は 狭い範囲のエネルギーを持っており、蛍光色素分子はそのエネルギーを吸収し励起状態に遷移します。励起後、エネルギーが低い基底状態に戻ることで発光スペクトルが放射されます。

吸収又は励起スペクトルのピークと発光スペクトルのピークとの差をストークスシフトと呼びます。この差が大きいほど2つの波長を区別でき検出しやすくなります。また、重複スペクトルがフィルターキューブ内で除去されることで、バックグラウンドが抑えられ、画像の質を高めることができます。

蛍光色素分子を長時間励起すると、蛍光退色が生じ、蛍光が弱まったり失われてしまうことがあります。蛍光の退色防止のために、アンチフェード封入材をスライドにのせ、回りをマニキュア液で固定してください。イメージングしないときは暗所に保管しておきましょう。

蛍光イメージングを開始するにあたり、スイッチを入れキセノン又は水銀ランプを点灯させ、発光が安定するまで15分ほど待ちます。

次にサンプルをステージにセットし固定します。白色光源のスイッチを入れます。低倍率の対物レンズを使用し、粗動ハンドルと微動ハンドルを調整してサンプルにフォーカスを合わせます。それからステージを上下させ観察ポイントを見つけます。

次に、バックグラウンドを減らすために必要のない室内照明や白色光源を消します。イメージングする染色に適したフィルターキューブを選択し、シャッターを開けてサンプルに照射します。

そして、フォーカスを合わせ、出てきた光をイメージングカメラに送ります。使用する蛍光色素分子や蛍光染色によって暴露時間を調整する必要があります。しかしながら、同じ染色でいくつかのサンプルを比較するときには暴露時間を一定にすることが大切です。

多重染色をイメージングするためには、蛍光色素分子に応じてフィルターキューブを変更し、新しい画像として保存して下さい。

各染色をイメージングしたあとに、重ね合わせることができます。

蛍光顕微鏡はいろいろな実験に利用され、様々な蛍光色素分子が使用されています。蛍光顕微鏡の利用例として、蛍光標識された抗体を用いたタンパク質のイメージングがあります。ここでは、レプトスピラ表面タンパク質の抗体をAlexa 蛍光標識二次抗体を使って検出しています。この二次抗体は励起させると緑色の蛍光を発します。

蛍光を特異的に標識する別の方法として、緑色蛍光タンパク質、GFPのような蛍光タンパク質を生物のDNAに組み込ませる手法があります。GFP遺伝子は、最初にクラゲから単離されたもので、細胞にある刺激を加えることにより発現させることや、ここでみられるGFPのように腫瘍細胞に特異的に発現させることができます。

他にも、蛍光イメージングのアプリケーションとして蛍光スペックル顕微鏡法があります。このF-アクチンネットワークのような高分子の集合体を蛍光標識することにより重要な細胞骨格タンパク質の動きや代謝回転のキネティクスを研究できます。

光退色後蛍光回復、FRAPと呼ばれるテクニックもあります。サンプルを部分的に退色させ、その部分に蛍光標識された分子が拡散し、回復する様子を観察することで分子の動きを解析します。

ここまでJoVE蛍光顕微鏡編をご覧いただきました。このビデオでは、蛍光の概念、蛍光顕微鏡と光学顕微鏡の違い、蛍光イメージング法、そして蛍光顕微鏡のアプリケーション例を紹介しました。ご覧いただきありがとうございました。蛍光褪色はサンプルにとって良いことではないので気をつけましょう。

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