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神経組織の組織培養

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組織培養は特定の細胞集団や神経構造の発生を調べるためのテクニックとして利用されます。胎児から神経組織を切り出し培養することで生体外でも発生を継続させることができます。この培養法を用いるとin vivo実験では不可能な発生中の組織の操作および観察が可能となります。このビデオでは、組織培養を行う際の注意点と2種類の組織培養法のプロトコル、そしてこのテクニックのアプリケーション例を紹介していきます。

詳しい手順の前に、基本原理を簡単に解説しておきます。

組織培養法で、多くのモデル生物の様々な臓器や組織を体外で培養することが可能となります。

一般的な手順は、まず胎児から神経組織を丁寧に取り出し、それから目的の部位を切り出して人工的に培養します。

組織を薄く切り出したスライスを用いる培養法を「スライス培養」。また、 生体内環境を模倣した状態で 器官全体を用いて行う培養法を「器官培養」と呼びます。

開始前に使用する器具を70%エタノールで消毒しておきます。次にラボのマニュアルに従い妊娠マウスを安楽死させます。そして子宮を取り出し氷冷したバッファー中に入れておきます。ディッシュを解剖顕微鏡に移動させ、卵黄嚢から胎児を取り出します。次に、脳を単離し目的の部位を慎重に切り出し培養液の入ったディッシュに移します。

その後は37℃、CO2濃度5%で2〜3週間インキュベートし、その間2〜3日おきに培養液の50%を交換して下さい。

脳のスライス培養にはさらに数ステップが加わります。セクショニング前に、脳をアガロースに包埋し、組織を補強することでスライスするときに崩れににくくなります。

まずはアガロースが溶解するまで温め1.5%低融点アガロース溶液を調製します。次にアガロースを型に流し込み、組織の損傷を避けるために少し冷まします。

その後組織をゆっくりとアガロース中に沈めたら、固まるまで待ちます。

できあがったブロックを試料台に固定しビブラトームを使ってセクショニングしていきます。

これは刃を振動させることで生体組織を薄くスライスできる装置です。作製したスライスを培養液を入れたコーティングプレートに移し前述の通りインキュベートします。

組織培養をin vivoおよび in vitro実験に適用するメリットはたくさんあります。第一に体外へ分離された組織は様々な実験に適応しやすいことです。また、取り出してきた神経組織を用いることで、神経が発達している段階での複雑な細胞間の相互作用を研究できます。

さらに培養液の組成を調製できるため、組織片を利用して特定条件下での組織発生への影響を調べることができます。

しかしながら、自然な環境から取り出された組織は、その機能を維持するために特別な環境が必要になります。細胞外マトリックス又はECMは細胞の活動に影響を与える重要な因子であり、精製したECMたんぱく質は培養ディッシュのコーティング剤としてよく利用されます。

もう一つ注意しておきたいのが、組織片を浸す溶液です。一般的には細胞培養液が用いられますが、中には神経系を循環する体液に近い溶液を必要とする実験もあります。例えば、脳脊髄液はこのビデオに登場する実験系にとってとても重要な試薬となります。

組織培養法について学んだところで実験例を見ていきましょう。

細胞遊走の実験では組織片を利用し神経細胞の移動に関わる反発性および誘引性シグナルの研究が行われています。ここでは前もって成長因子に浸しておいたビーズを脳組織片の後ろ側に移植し神経細胞の遊走を調べています。

そして3〜4日後に共焦点顕微鏡を使って神経のイメージングを行います。運動神経細胞は血管内皮増殖因子がついたビーズに向かって遊走しますが、そうでないビーズの方には遊走していないことが分かります。

共培養法を利用して発生中の細胞間の相互作用を明らかにすることができます。ここでは、脊髄分節を筋細胞層の上で培養し脊髄運動ニューロンと骨格筋とのつながりを調べています。

早ければ培養後2日で、神経から突起が伸びているのが観察できます。

そして5日以内には筋細胞層の収縮を調整する神経ネットワークが構築されるのが確認できます。

神経系で発達中のニューロンは軸索を伸長し、目的組織と中枢神経系のネットワークを形成していきます。この複雑なシステムを研究する手段の一つは、軸索ガイダンスの解析です。組織片を用いた実験により、軸索を適切な場所へと誘導する神経由来因子およびその周辺の因子を明らかにすることができます。

ここまで組織培養についてご覧いただきました。このビデオでは組織培養の利点、培養方法、2種類の一般的なプロトコルと組織片を取り出す手順、そしてこのテクニックを利用した今日の研究を紹介しました。ご覧いただきありがとうございました。

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