長期増強(LTP)は,シナプス前とシナプス後のニューロン結合の間に 時間の経過とともに起こるシナプス強化のプロセスです。1つのプロセスのなかで,シナプス前ニューロンが シナプス後細胞を繰り返し刺激すると,シナプス後膜におけるイオンチャネルの種類や数の変化,例えばN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)という グルタミン酸受容体への変化を引き起こします。NMDA受容体は通常マグネシウムイオンによって不活性化されますが,反復刺激による強い脱分極により、マグネシウムイオンは置換されて カルシウムイオンが入れるようになります。このカルシウム流入は、第二のグルタミン酸受容体に達するシグナル伝達カスケードが開始します。アルファアミノ3ヒドロキシ5 メチル4イソキサゾリルプロピオン酸 が,膜に挿入されます。この場合、より多くの陽イオンがニューロンに流れ込み、シナプス前刺激に対して シナプス後反応が強くなります。LTPは学習に不可欠であり、継続は力なり」ということわざを裏づけるものです。シナプス前刺激が持続する場合、新しく強化された反応は数分から数週間以上続くため、継続は力なり」となるわけです。