複数の対立遺伝子に加えて,異なる場所にある様々な遺伝子が相互作用して,エピスタシスという現象がおこり,毛皮の色素のような 表現型に影響を与えることがあります。例えば,ウサギの色はチロシナーゼなど さまざまな遺伝子の影響を受けます。おもしろいことに、完全な白色に見える 毛様体無色素のウサギは,チロシナーゼの劣性変異対立遺伝子に対して ホモ接合性であるのに対し、優性対立遺伝子を持つウサギは毛皮に色が付きます。こうした色は,TYRP1と略される チロシナーゼ関連タンパク質1という 遺伝子によって 部分的に決まります。優性対立遺伝子は黒い毛皮を,劣勢対立遺伝子チョコレート色や茶色の 毛皮を生じさせます。毛皮の色に関して他の要因を無視すると,ヘテロ接合性の少なくとも2つの遺伝子座は黒のもので,2つの劣性チロシナーゼ対立遺伝子をもつものと 交配すると,子はTYRP1の要素に関係なく 毛様体無色素の 白いウサギになります。劣性チロシナーゼ対立遺伝子が毛皮の茶色や黒を 発現させなくします。この遺伝子がない場合は茶色や黒が発現します。チロシナーゼ立体配置がTYRP1に対して上位であるという,劣性上位主義の例です。エピスタティック相互作用を 評価することによって、研究者はさまざまな種がどのようにして 固有の環境に合うように毛皮の色を発達させたかを理解し,遺伝子が同じ細胞経路で作用するかどうかを調べることもできます。