2.21:

気化

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Biology
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Vaporization

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00:00 min

March 11, 2019

気化とは、液体物質を気体や蒸気に変えることです。気化させるには、運動エネルギーが、分子の結合を維持する分子間力よりも大きくなければなりません。一定の圧力、一定の温度で、ある量の液体を気化させるのに必要なエネルギーの量を気化熱といいます。液体の水が気化すると、水蒸気となります。

方法

液体が沸点に達するまで熱を加えることが、気化させる方法の一つです。沸騰は気化の一種で、液体の表面より下で蒸気の泡が発生すると生じます。沸点は大気圧によって変化します。気圧が高ければ高いほど、沸点に到達するために必要なエネルギーが大きくなります。海面では、水は100℃(212℉)で沸騰します。この海面の温度を通常の沸点または大気圧沸点と呼びます。標高の高い場所では、水が沸騰するのに必要とするエネルギーは少なくなります。エベレスト山では、水は約71℃(160℉)で沸騰します。大気がなく非常に冷たい宇宙では、水の熱容量が大きいため、水はまず沸騰し、それから凍ります。

沸点以下では、気化の他の種類にあたる蒸発が起こります。この過程では、分子間力に十分勝る運動エネルギーを持った水分子が、水の表面から蒸気として逃げ出します。残った水分子は運動エネルギーが低くなります。この現象が大規模に起こると、液体の質量全体の運動エネルギーが減少し、液体が冷えていきます。汗をかくことは、体温を下げているためにこの蒸発という現象を利用します。汗が体から蒸発すると、残った汗は冷たくなり、体の熱の緩和を助けるのです。

水が蒸発する性質は、植物が体内で水を上へ移動させるのにも利用されています。葉の孔から水分子が放出されて蒸発すると、分子接着によって下にあった水分子を上へ引き寄せます。環境的な規模では、水の蒸発が水循環と地球の気象・気候の多くを動かすエンジンとなっています。地表の約71%は水であるため、水の蒸発する仕組みとその力を理解することは重要です。